アパレル世界大手スウェーデンH&Mが、ストリートアート作品には著作権が適用されず使用は自由だと主張し、グラフィティアーティストREVOKを相手取り3月9日にニューヨーク州の連邦裁判所に訴えた事案で、同社は3月16日訴訟を取り下げると発表した。発表文で「H&Mは媒体に関係なくアーティストの独創性と創造性を尊重する」と見解を述べた。
今回の事案の発端は、H&Mが商品広告に、グラフィティアーティストのジェイソン・ウィリアムズ氏(REVOK名で活動)の作品を無許可でしようしたこと。REVOK側はH&Mに広告の使用停止を求め訴訟を含めた対応を取ると表明。それに対しH&Mは、ストリートアートは違法製作物のため著作権が適用されないと主張し、無許可使用が可能との立場を訴え3月9日、ニューヨーク州の連邦裁判所にREVOKを提訴していた。このH&Mの対応に対しては、アーティストを中心に大きな反発を呼び、SNS上で同社の不買運動を求める動きにも発展していた。
所有の有無に係わらず建造物にスプレー等で描画するストリートアートに対しては、法的保護を認める判決も出てきている。ニューヨーク州の連邦裁判所は2月12日、ニューヨークのグラフィティ・アーティスト21人が、クイーンズ地区ロングアイランドシティの倉庫「5Pointz」の壁にストリートアートを描画し、ビル所有者の不動産会社社長Jerry Wolkoff氏が壁を白塗りし作品を消した事案について、アーティスト側勝訴の判決を下した。同裁判所は、所有者の不動産会社に対し、賠償金670万米ドル(約7.2億円)の支払を命じた。判決理由は、所有権の有無に係わらず、財産(今回の事案ではストリートアート)が保護に値すると多くの人が認識されている場合、当該財産を破損する行為は視覚芸術家権利法(VARA)に違反するというもの。
【参照ページ】H&M has withdrawn complaint in grafitti case
【参照ページ】Graffiti Artists Awarded $6.7 Million for Destroyed 5Pointz Murals
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