【タイ】ILO、タイの漁業・水産加工業における移民労働者の実態調査結果を発表。人権侵害多い 2018/03/18 最新ニュース

 国際労働機関(ILO)は3月7日、タイの漁業および水産加工業の移民労働者たちに関する調査プロジェクト「Ship to Shore Rights Project」の第1回目の結果を発表した。同プロジェクトは、2017年から2019年まで3年間、EUからの資金提供を受け実施されている。背景には、タイでは多くの移民労働者の人権侵害が報告されているため。ILO、EU、タイ、産業界、労働団体の一体となった対策が求められている。

 2014年のタイの漁業及び水産加工業の輸出高は66億米ドル(約6,984億円)。ベトナム、ノルウェー、中国に次いで世界第4位の規模。2017年には両業界の雇用者数は60万人以上。そのうち登録移民労働者の数は302,000人で半数に達している。

 同プロジェクトでは、「法律、政策、規制の枠組み強化」「強制労働その他の権利侵害に対処する労働監督機能の向上」「ILOの重要な労働基準へ順守とサプライチェーン全体における苦情申立制度の確立」「労働者、特に強制労働の被害者に対する支援サービスへのアクセス強化」の4つをチェックしている。

 今回発表された「ベースライン調査」は2017年の3月と4月に実施され、対象者はタイ人が22人、移民労働者が412人の合計434人。漁業と水産加工業(養殖を含む)の従業員はそれぞれ196人、238人という構成。就業地域はタイの11の州にわたり、大企業から中小企業まで幅広く徴された。量的調査に加え、インタビューも含めた質的調査も行っている。

主要な調査結果

  • 最少年齢が18歳以上:漁業98%、水産加工業99%
  • 最低賃金が月額9,000バーツ(約30,000円)以上:漁業76%、水産加工業57%。男性73%、女性48%
  • 契約書への署名:漁業43%、水産加工業29%
  • 週1日の休日:漁業データなし、水産加工業59%
  • 休日出勤手当:漁業20%、水産加工業45%
  • 政府管掌健康保険に加入:漁業89%、水産加工業70%
  • 契約時の合意より実際の労働条件が悪い:漁業17%、水産加工業20%

ILOが規定する強制労働11項目への該当数

 11の指標とは、「詐欺」「隔離」「脅迫」「(雇用者による)本人確認書類の保持」「給料の天引き」「苛酷な労働環境および生活環境」「過度の残業(超過勤務)」「弱者への虐待」「移動の制限」「物理的および性的暴力」「借金による束縛」のこと。

  • 漁業:0(29%)、1(23%)、2(23%)、3(12%)、4(5%)、5(7%)、6(1%)
  • 水産加工業:0(56%)、1(21%)、2(13%)、3(6%)、4(3%)、5(1%)、6(0%)

サポートサービスへのアクセス確保

  • 医療サービス:漁業(61%)、水産加工業(50%)
  • 法的サービス:漁業(13%)、水産加工業(9%)
  • 子どもの教育:漁業(8%)、水産加工業(13%)
  • 職業訓練:漁業(9%)、水産加工業(10%)
  • 労働者の権利に関する研修:漁業(5%)、水産加工業(14%)
  • 一切サポートなし:漁業(30%)、水産加工業(36%)

 今回の調査では18歳未満の労働者が極めて少なく、以前に比べて大幅な改善が見られる。しかし、強制労働指標やサポートサービス等、いくつかの項目での改善が強く望まれる。健康保険に加入していても医療機関へのアクセスが容易でないことが推測され、人権や労働者の権利擁護が懸念されている。

 同報告書の中では、タイの漁業・水産加工業の労働改善で高い基準を設定し貢献している企業として、小売大手ウォルマート、コストコ、テスコ、コールズ、シンプロット、ミグロや、食品大手マース、ネスレ、CPCフーズ、タイ・ユニオンの名前を挙げた。

【参照ページ】Measuring progress towards decent work in Thai fishing and seafood industry
【報告書】Ship to Shore Rights Project

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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