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【EU】欧州委TEG、低炭素「ベンチマーク」最終報告書発表。ESGベンチマーク内容開示も

 欧州委員会のサステナブルファイナンスに関するテクニカル専門家グループ(TEG)は9月30日、同政策の柱の一つ「ベンチマーク」に関し最終報告書を発行した。ベンチマークでは、気候変動緩和のためにEUが公式に設定するインデックス2つの設定と、欧州での市場に出ているESGインデックスのESG内容に関する情報開示という2つの内容で構成されている。今後、パブリックコメントを募集した後、2020年中頃に政令に相当する「委任法令(Delegated Act)」の形で制定する予定。

 今回のベンチマーク・ルールは、欧州委員会が提案したサステナブルファイナンス・アクションプランをEU理事会と欧州議会が承認し、審議に入っていた。設定するベンチマークは、ポートフォリオ構成企業やポートフォリオ全体の気候変動緩和内容について気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のレポート内容に即した要件を設定した「EU気候移行ベンチマーク(EU CTB)」と、さらに厳しくパリ協定に即したセクター方針等を追加した「EUパリ協定整合ベンチマーク(EU PAB)」の2つ。すでに欧州加盟国とEU理事会は、欧州委員会に対して同2つのベンチマークを設定することを授権しているため、委任法令の形で発布する。

 今回設定したベンチマークは、投資家が気候変動緩和やパリ協定に整合性のあるベンチマークを探している投資家向けに、グリーンウォッシングを避けるため、EUとして高いレベルでのお墨付きを与えたもの。用途としては、パッシブ運用での活用、ポートフォリオのGHG削減戦略でのベンチマーク、エンゲージメント・ツール、戦略的アセットアロケーション(SAA)での投資ポリシー活用を挙げた。

 EU CTBは、投資ユニバースに対し、投資先企業のスコープ1とスコープ2での原単位排出量合計を30%以上低くすることが必要で、4年以内にはスコープ3も組み込まれる。問題性のある武器に関するセクターや、国連グローバル・コンパクト(UNGC)違反、OECD多国籍企業行動指針違反、及び、EUサステナブルファイナンスの6分野「気候変動緩和」「気候変動適応」「水と海洋資源の持続可能な使用や保護」「サーキュラーエコノミーへの移行・廃棄防止・リサイクル」「汚染防止・管理」「生物多様性保全」の6分野での違反に関与している企業は除外される。また、毎年7%二酸化炭素排出量を削減することが求められる。TCFDの移行リスクを減らした機関投資家に向けに用意された。

 EU PABは、EU CTBに加え、石炭採掘関連の売上が1%以上、石油採掘関連の売上が10%以上、天然ガス採掘関連の売上が50%以上、排出係数が100gCO2e/kWhを上回る発電が全体の50%以上の電力会社も除外される。さらに、投資ポートフォリオ二台し、投資先企業のスコープ1とスコープ2での原単位排出量合計を50%以上低くしなければならない。こちらは、1.5℃への整合性を確保したい機関投資家向けに用意された。

 双方のベンチマークとも、現時点では気候変動の物理的リスクについては、ポートフォリオ要件には加えることは見送ったが、情報開示の中で記載すべきとした。但し、双方とも今後3年毎にポートフォリオ要件を見直すことを明記。その時どきのベストプラクティスや技術変化を反映させることにした。

 同レポートのもう一つ「ESGインデックスのESG内容に関する情報開示」については、2018年1月にEUの」サステナブルファイナンスに向けてのハイレベル専門家グループ(HLEG)」発行された提言書では、EU加盟国の各当局が、各ファンドがベンチマークとするESGインデックスについては具体的なESG考慮の内容について開示することを義務化することを求めている。今回の最終報告書では、TEGとしての技術的な提言を行った。

 技術的な提言としては、株式インデックスについては、ポートフォリオ構成銘柄の総合ESGスコア、ESGスコアのトップ10企業、国連グローバル・コンパクト(UNGC)違反銘柄率、原単位二酸化炭素排出量、化石燃料セクターの構成割合、グリーン売上やグリーン設備投資額、債券インデックスでは、それらに加えグリーンボンドの構成割合等を最低限開示義務化すべきとした。オルタナティブについても、最低基準を示した。

【参照ページ】Final report
【最終報告書】Final Report

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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