みずほフィナンシャルグループは5月21日、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)ガイドラインに基づくTCFDレポートを同社として初めて発行した。日本の銀行としても初。同社は4月に打ち出した「環境方針」「サステナビリティへの取り組みに関する基本方針」の中で、TCFDレポートの発行に言及していた。
【参考】【日本】みずほFG、メガバンク初の石炭火力新設投融資禁止表明。MUFG、SMFGとの比較含め解説(2020年4月15日)
今回のレポートでは、開示が推奨される4つの観点のうち「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」については、4月の「環境方針」「サステナビリティへの取り組みに関する基本方針」で説明した内容の詳細を記載した。ガバナンス体制では、気候変動リスクを、従来のリスク体制の中に統合させることを明記し、監督側では取締役会への助言機関であるリスク委員会で気候変動リスクも扱うとともに、執行側でもリスク管理委員会が気候変動を扱う。
シナリオ分析については、4月の発表時に、現状の事業構造を気候変動シナリオに応じて転換した場合に2050年までに現行の事業構造よりも約1,200億円から約3,100億円増やすことができるとの試算を先行して伝えていたが、今回詳細を記載した。
移行リスクに関しては、エネルギーの低炭素化の影響で、2050年までの与信コストの増加額は、2020年3月末基準で約1,200億円から3,100億円と試算。同試算では、中長期的には投融資先顧客の脱化石燃料化が進むことを前提とした。その前提の実現に向け、顧客とのエンゲージメント強化も打ち出した。
物理的リスクに関しては、台風・豪雨による風水災に伴う建物損傷率をモンテカルロシミュレーションにより算出する手法を採用。直接影響として、担保不動産(建物)価値毀損規模を算出。価値毀損による同社の与信コストへの影響は限定的と結論づけた。一方、間接影響では、不動産損傷による顧客企業の営業停止による与信コストへの影響程度を算出。個社単位での事業停滞日数の推計結果を踏まえた手法(ボトムアップアプローチ)と、事業停滞日数が平均以上に長期化することが見込まれるポートフォリオに対して一定のストレスを付す手法(トップダウンアプローチ)双方の分析を実施したが、2℃上昇でも、4℃上昇でも最大520億円程度に止まると結論づけた。
【参照ページ】TCFDレポート 2020
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