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【アメリカ】バイデン政権、220兆円の米国雇用プラン発表。気候変動と中国対抗が柱。法人税改革も

 米ジョー・バイデン政権は3月31日、「米国雇用プラン」を発表し、2030年までの総額2兆米ドル(約220兆円)の公共インフラ投資計画を表明した。米政府はすでに「米国救済プラン」としてコロナ対策・復興予算を総額1.9兆米ドル(約200兆円)確保しているが、米国雇用プランはこれに追加される形で投入される。今後、連邦議会での予算確保作業に入る。

【参考】【アメリカ】上院、200兆円のコロナ対策予算案を僅差で可決。個人給付金や地方政府支援等(2021年3月9日)

 今回ホワイトハウスは、米国のインフラの質は世界13位に留まっていると指摘。過去の公共インフラ投資計画のように、現在の大きな課題に対処する計画とすると表明した。具体的には、気候変動と独裁的な中国の野心の2つの対処を掲げた。今回の計画のうち40%は直接気候変動や再生可能エネルギー分野に投じられることも伝えた。特に、再生可能エネルギーの市場ベースの転換で影響受ける地方社会への投資「ジャスト・トランジション」もメインに据えた。

 今回の計画では、6つの投資分野を定めている。まず、高速道路、橋、港湾、空港、公共交通機関等の交通インフラの補強に6,210億米ドル。高速道路の近代化では2万マイル(約3.2万km)という目標も示した。電気自動車(EV)支援には1,740億米ドルを拠出し、中国に対抗する。2030年までにEV充電ステーションも50万ヶ所にまで引き上げる。スクールバスでも2030年までにEV比率を20%以上にし、最終的には100%にする。気候変動による異常気象へのレジリエンス強化にも500億米ドルを割り振る。

 次に、上水、送配電網・発電、高速インターネットの整備。上水道から有害化学物質の鉛を全廃する。これにより、石油・ガスや石炭の減衰で失職した人々の雇用を創出する。発電では、2035年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロ電源100%にする。現在米国の35%は高速インターネットにアクセスできていないため、整備を急ぐ。上水分野には1,110億米ドル、送配電網には1,000億米ドル、高速インターネットでも1,000億米ドルを連邦議会に求める。

 3つ目は、住宅や商業不動産200万棟の新築・修繕と公共施設の近代化。まず、住宅政策では、省エネ性能が高くアフォーダブルな電化住宅を100万棟建設し、特に低・中所得者向けの住宅も50万棟用意。省エネ修繕にも予算を付ける。住宅政策の予算は総額2,130億米ドル。学校対策では、低所得者地域の学校でのインフラ整備に1,000億米ドル。同様に低所得者地域の大学にも120億米ドルを投下。託児所や保育園等にも250億米ドルを組む。退役軍人病院にも180億米ドルの増強予算を用意する。

 4つ目は、介護・福祉従事者の雇用創出と賃金上昇。現在、介護・福祉には非白人の助成の就労が多く、賃金が低い。業界へのインフラ投資で打開策を探る。また、在宅介護やコミュニティ介護を拡充し、待機要介護者をなくす。現在米国は5年間も介護サービスを待機させられている人もいるという。予算は総額4,000億米ドル。
 
 5つ目は、製造業の復権。米国内でのR&D投資に1,800億米ドル、サプライチェーン構築に3,000億米ドル、ビジネスパーソン研修に1,000億米ドルが主要な施策となる。サプライチェーン構築では、政府の再生可能エネルギー調達支援に460億米ドル、地方を中心とした収益性向上投資に200億米ドル、国内製造強化投資に520億米ドル等。研修では、「没落中流」と呼ばれる中産階級へのトレーニングを重視する。

 6つ目は、労働条件の改善。労働組合への加盟促進、再生可能エネルギーへの転換での雇用創出と好労働条件の確保等。

 また財源では、法人税を、2017年のトランプ減税の前の28%にまで引き上げ、海外投資からの課税も2017年トランプ減税を撤廃し、21%の課税を行い、雇用の国外移転を防ぐ。また諸外国にも同様に法人税の引き上げを求め「法人税率引き下げ競争」を終わらせにいく。また租税回避を防ぐため、大企業に対しては「ブック・インカム」制度を導入し、財務諸表上の利益で法人税額を決められるようにする。
 
【参照ページ】FACT SHEET: The American Jobs Plan

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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