韓国化学大手LG化学は9月2日、韓国ダンスク・インダストリアルと協働で、韓国初の水素化植物油(HVO)生産プラントを2024年までに大山団地に建設すると発表した。HVOは、高品質のバイオディーゼル燃料として期待されている新燃料。LG化学は大山団地で10工場を建設する計画を8月に発表しており、HVOプラントもその一角を形成する。
【参考】【韓国】LG化学、環境素材生産増強で2400億円投資。EVバッテリーは現代自動車とインドネシアで生産合弁(2021年8月20日)
HVOは、低温でも凍結しない特性を持ち、特にジェット燃料や石油化学原料としての期待が集まっている。HVOの世界市場の需要は、ジェット燃料での燃料転換規制により、2020年の600万tから2025年には3,000万tにまで拡大する見込み。年平均成長率予測は40%以上。
ダンスク・インダストリアルは現在、廃食用油等から従来型のバイオディーゼル燃料を生産。国際認証を取得しており、韓国で唯一欧米双方にバイオディーゼル燃料を輸出できる体制を持つ。今回HVO生産の参入することで、ジェット燃料等の次世代バイオ燃料事業を立ち上げる。
LG化学は、HVO生産を内製化することで、SAP(高吸水性樹脂)、ABS(高付加価値合成樹脂)、PVC(ポリ塩化ビニル)の製造に使用するバイオ原料を供給する基盤を整備する。同社は、ISCC Plus認証の取得製品ラインナップを、今年末までに30製品以上に拡大する予定。
さらに同社は8月30日、廃プラスチックをケミカルリサイクルしたMMA(メチルメタクリレート)で、透明ABS(高付加価値合成樹脂)を生産することも発表した。仏ヴェオリア子会社のヴェオリアR&Eと戦略的パートナーシップを締結し、同社から再生MMAの供給を受ける。
人工大理石の表面加工時に発生する粉末や端材を熱分解し、MMAにリサイクルする技術は、韓国リサイクル大手R&Eが2010年に世界で初めて開発。R&Eは2019年にヴェオリアの傘下に入り、社名をヴェオリアR&Eに変更した。MMAは、無色透明の液体化合物で、自動車、家電、IT機器、人工大理石の建材等で幅広い用途で使用されている。
LG化学は、ABSの生産能力年間約200万tを誇り、世界トップシェア。再生MMAを活用したABSを「LETZERO」ブランドでグローバルで販売する。透明ABSの市場規模は2021年の27万tから2026年に36万tにまで成長するとみられている。
LG化学は8月10日には、バッテリー電材のバリューチェーンで、中国国内では再生可能エネルギー100%を達成したことも発表している。中国浙江省衢州市にある負極材の前駆体工場では、再生可能エネルギー電力の調達で、浙江省振栄電力から年間50GWhの電力購入契約(PPA)を締結。すでに無錫の負極材工場でも2020年末にPPAで再生可能エネルギー100%を達成しており、これにより、再生可能エネルギー100%を達成。契約価格は、市場の電力価格より低く、コスト削減にも成功した。
韓国の清州にある負極材工場でも、徐々に再生可能エネルギー電力比率を高めている。すでに韓国の「グリーンプレミアムシステム」に参加し、電力の30%を再生可能エネルギー電力に転換。これによりグローバルでのバッテリー電材バリューチェーンでの再生可能エネルギー比率は60%にまで上がってきた。
【参照ページ】LG Chem to build Korea's first next-generation Hydro-Treated Vegetable Oil plant with Dansuk Industrial
【参照ページ】LG Chem begins to apply recycled materials to transparent ABS production
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