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【国際】日米豪印クアッド共同声明、9分野で合意。健康、インフラ、気候、サイバーセキュリティ等

 岸田文雄首相、米ジョー・バイデン大統領、豪アンソニー・アルバニージー首相、印ナレンドラ・モディ首相は5月24日、第3回日米豪印(クアッド)首脳会合を東京で開催し、共同声明を発表した。「平和と安定」「健康安全保障」「インフラ」「気候変動」「サイバーセキュリティ」「重要・新興技術」「宇宙」「海洋状況把握及び人道支援・災害救援」「人的交流」の9分野で合意に達した。

 今回の共同声明は、アジア太平洋地域での「対中国」が色濃く出ている。まず、自由、法の支配、民主的価値、主権及び領土一体性、武力による威嚇又は武力の行使や一方的な現状変更に訴えることなく紛争の平和的解決、航行及び上空飛行の自由を4カ国の共通の価値観とし、インド太平洋地域及び世界の平和、安定及び繁栄に不可欠な原則とした。

 その上で、平和と安定では、ウクライナ戦争のアジア太平洋への影響を議論。「中国」の名指しは避けたが、国際秩序の中心は、国連憲章を含む国際法及び全ての国家主権と領土一体性の尊重と強調し、特に中国の台湾への侵攻、及び南シナ海での中国の領海拡大の動きを牽制した。その上で、太平洋島嶼国をクアッド側に付けておくため、健康インフラ、環境レジリエンス、漁業、持続可能なインフラ、教育、気候変動緩和・適応の観点で、積極的に太平洋島嶼国を支援することにコミットした。

 他には、朝鮮半島の完全な非核化、日本人拉致問題の即時解決、北朝鮮の複数の大陸間弾道ミサイル実験への非難、またミャンマーに関しては、暴力の即時停止、外国人を含む全ての政治的被拘束者の解放、建設的な対話への関与、人道アクセス、及び民主主義の早期回復を、共同声明に盛り込んだ。

 健康安全保障では、新型コロナウイルスの新たな変異株に備え、ワクチン、検査、治療、その他の医療物資を最もリスクの高い人々に届けることに重点を置き、ウイルスに先んじるために我々の集団的対策を講じることにコミット。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)では、グローバルヘルス・アーキテクチャーの強化・改革にもコミットした。

 インフラでは、インド太平洋地域の生産性及び繁栄を促進するために不可欠なインフラ整備で、公的及び民間投資を動員。次の5年間にインド太平洋地域で、4ヶ国合計で500億米ドル(約6.3兆円)以上のインフラ支援及び投資を目指すとした。また、複数の二国間及び多数国間の能力構築支援から成る「クアッド債務管理リソースポータル」等を活用し、債務のサステナビリティと透明性も促進するとした。

 気候変動では、「日米豪印気候変動適応・緩和パッケージ(Q-CHAMP)」の創設を発表。気候変動緩和では、海運・港湾部門のカーボンニュートラル化、クリーン水素とクリーンアンモニア、天然ガス部門におけるメタン削減、酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCUS)に関する知見共有等を謳った。気候変動適応では、気候・情報サービス・タスクフォースによる気候情報サービスの推進及び、「災害に強靭なインフラのためのコアリション(CDRI)」を通じた防災インフラの整備、「気候のための農業イノベーション・ミッション(AIM for Climate)」等を通じた気候スマート農業の促進、国際サンゴ礁イニシアテチブ等を通じた海洋生態系適応策と、自然を軸とした解決策(NbS)に基づくレジリエンス強化を標榜した。

 気候変動に関しては、直前のオーストラリア総選挙で9年ぶりの政権交代となり、就任したアンソニー・アルバニージー首相から、気候変動対策を強化すべきとの意思があり、共同声明でも、新政権による2050年カーボンニュートラル達成の法案可決等の政策強化を歓迎した。

 サイバーセキュリティでは、脅威情報の共有を通じた各国の重要インフラ防護の強化、デジタル対応の製品・サービスのサプライチェーンにおける潜在的リスクの特定・評価、公共調達での基本的なソフトウェアセキュリティ基準の調和にコミット。「日米豪印サイバーセキュリティ・パートナーシップ」に基き、インド太平洋地域のキャパシティビルディングも進める。将来的には量子技術にも焦点を当て、技術動向調査を進める。

 宇宙では、人工衛星データ等が、気候変動、防災、災害対応、海洋・海洋資源の持続可能な利用等での活用に期待。地球観測衛星データやアプリケーションへの公共アクセス向上に努めるとした。具体的に「日米豪印衛星データポータル」を提供するとともに、民間地球観測データの共有も進める。宇宙の持続可能な利用のための規則、規範、ガイドライン及び原則についても協議し、国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)の「宇宙活動の長期持続可能性ガイドライン」に関連したワークショップも行うとした。

 海洋状況把握・人道支援・災害救援では、インド太平洋諸国のキャパシティビルディングを進める「海洋状況把握のためのインド太平洋パートナーシップ(IPMDA)」の創設を歓迎。また、「インド太平洋地域における日米豪印HADR(人道支援・災害救援)パートナーシップ」の創設も発表した。

 人的交流では、日米豪印各国の学生100名が米国でSTEM分野の大学院学位取得を目指す「日米豪印フェローシップ」の正式な創設を歓迎。シュミット財団が運営する。

【参照ページ】日米豪印首脳会合共同声明

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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