国連防災機関(UNDRR)は4月26日、防災に関する世界評価報告書2022年版を発行した。現在の状況では、社会、政治、経済の方向性が、「地球の存続と生態系の限界に向かって進んでいる」と指摘。警鐘を鳴らした。
同報告書は、現在の傾向が続けば、世界の年間災害件数は2015年の約400件から2030年には560件に増加。旱魃現象は2000年から2030年の間に30%以上増加。異常気温現象は2001年から2030年の間にほぼ3倍になると予測されると警告した。それにより、UNDRRの仙台防災枠組2015-2030、パリ協定、持続可能な開発のための2030アジェンダのいずれも達成が危うくなるとした。
また災害からの年間の直接経済損失は、過去30年で2倍以上に拡大。新型コロナウイルス・パンデミックや気候変動により、災害での経済損害が大きくなっていることを踏まえ、システミックの拡大にも留意した。
その上で、3つの提言を行っている。まず、価値の測定。金融システムに着目し、長期リスクの市場リスクへの反映、投資・保険システムの再構築、リスク削減インセンティブの付与を提言した。加えて、政府財政としても、リスクや不確実性を考慮した歳出やリスクファイナンスを提唱した。
2つ目は、人間心理に応じた制度設計。人々のリスクに関する認知バイアスを認識した上で、行動のギャップを埋める政策を打つ必要があるとした。
3つ目は、相互接続しているデジタルおよび物理インフラ、グローバルに統合されたサプライチェーン、都市化や人の移動の増加等、影響が複雑に波及することを踏まえ、複数の分野を横断するリスク対策、市民との対話、学習が重要とした。
UNDRRは5月27日には、インドネシア・バリで国際会議「防災グローバル・プラットフォーム」を開催。バリ・レジリエンス・アジェンダを発表。リスクマネジメントの在り方を早急に見直す必要があると発表した。
【参照ページ】GAR2022
【参照ページ】UN disaster summit concludes with Bali Agenda for Resilience to prevent world from facing 1.5 disasters a day by 2030
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