欧州委員会は12月7日、最新のEU共通農業政策(CAP)で導入されたEU競争規則からの除外規定に関し、農業分野におけるサステナビリティ合意の設計ガイドラインを採択した。農業分野での協業に関する競争法上の合法ラインを明確にした形。同ガイドラインは、EU官報掲載後に直ちに発効する。
EUでの競争法では、EU機能条約(TFEU)第101条で、価格上昇や数量減少につながる競合企業間の協定等、競争を制限する企業間の協定を禁止している。但し、農産物市場の共通組織を確立する規則(CMO規則)第210a条では、農業分野における特定の制限的協定については禁止除外している。今回発行のガイドラインは、サステナビリティに関する農業での共同イニシアチブをどのように合法的に設計できるかを明確にした。
まず、競争法の適用が免除される範囲としては、農業生産者を必ず含めて締結された合意であることが前提になることを明確にした。また合意は農作物に関するものでなければならないことも明確にした。
次に、対象となるサステナビリティ分野では、CMO規則第210a条に規定されている通り、「環境保護」「農薬使用と薬剤耐性(AMR)の削減」「動物福祉と健康」の3つのカテゴリーに限定されることを明記。すなわち、ディーセント・ワーク等の経済的・社会的なサステナビリティ目標を追求する合意は、競争法の免責対象とはならない。
さらにサステナビリティ分野で合意する事項の水準についても、EU法または国内法で義務付けられている水準よりもわずかでも高い水準を採用する必要があるとした。また、合意事項が目指す水準の達成に不可欠なものといえるものでなければならない。例えば、事業者は、追加コストをカバーするための生産者への支払いや、生産者が基準を採用するリスクを取るための金銭的インセンティブについて合意することができる。反対に、他の加盟国の商品や事業者を排除することは、原則としてサステナビリティ基準の達成のためには不可欠ではないと考えられるとした。
一方、EU加盟国の競争法当局は、サステナビリティ合意が、特に不合理な消費者価格や、消費者の大きな需要がある製品市場からの排除につながる場合、競争法当局が介入し、サステナビリティ合意の停止や修正を要求することができると明記された。
【参照ページ】Commission adopts antitrust Guidelines for sustainability agreements in agriculture
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