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ビジネスの国連持続可能な開発目標(SDGs)推進国際NGOのWorld Benchmarking Alliance(WBA)は2月7日、デジタル分野のイニシアチブ「デジタルインクルージョンのためのコレクティブ・インパクト連合」を「倫理的AIのためのコレクティブ・インパクト連合」に改称したと発表した。IT企業を対象とした第2弾フェーズの活動も開始する。
WBAは2022年9月、WBAが実施している「デジタルインクルージョン・ベンチマーク」の企業評価の一環として、ステークホルダーが協働するためのイニシアチブ「デジタルインクルージョンのためのコレクティブ・インパクト連合(CIC)」を発足。2022年から2023年にかけ、約130社を対象に、責任あるAI原則に関する企業のコミットメントや測定可能な進捗状況を評価する活動を展開してきた。
活動に参加しているのは34の機関投資家と12のNGO。機関投資家ではフィデリティ・インターナショナルとボストン・コモン・アセット・マネジメントが共同代表幹事を務め、他にピクテ、AVIVA Investors、HSBCアセット・マネジメント、Robeco、DNBアセット・マネジメント、シュローダー、カンドリアム、英国国教会理事会等が参画。NGO側は、Women at the Tableが代表幹事を務め、Centre for Artificial Intelligence Research(CAIR)、Data Economy Policy Hub(DepHUB)等が参画している。
同イニシアチブは、2023年9月には活動成果をまとめた「2023年進捗レポート」も公表。2021年のWBAデジタルインクルージョン・ベンチマークでは、大手150社のうち20社しか責任あるAIに関する企業原則を開示していなかったが、そのうち130社に書簡を送付し、さらに44社を対象に直接的エンゲージメントを実施したところ、2023年の調査では47社に増加していた。2023年から調査対象に加わったパナソニックホールディングス、キャップジェミニ、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)、ジュピター・ネットワークス、NXPの5社も開示しており、2023年9月には調査対象200社のうち開示企業が52社となった。
機関投資家によるエンゲージメントについては、41社に対話を求めたところ、28社が応じたが、11社については全く音沙汰がないという。
日本企業については、NTT、ソフトバンク、KDDI、NEC、ソニーグループ、パナソニックホールディングスが開示済み。但し、調査回答に対し、全ての内容で高評価されているわけではない。開示なしと判断されている企業は、キヤノン、京セラ、村田製作所、任天堂、楽天グループ、東芝テック。
今回発表した活動第2フェーズでは、対象企業に対し、4つの開示を要求していく。
- 企業がAIツールを開発、展開、調達する際の指針となる一連の倫理原則
- AIの開発と使用のバリューチェーン全体にわたる強力なAIガバナンスと監督
- 当該原則が、製品・サービスレベルを含め、企業のビジネスモデルに関連する具体的なツールや行動プログラムを通じた実践方法
- リスクの高い使用ケースにおける人権インパクト評価(HRIA)を中心としたAIに適用されるインパクト評価プロセス
【参照ページ】Launching the next phase of the Collective Impact Coalition for Ethical AI
【参照ページ】Digital Inclusion Collective Impact Coalition 2023 Progress Report
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