
米大統領府(ホワイトハウス)は7月26日、米アップルがAIに関する自主コミットメントに署名したと発表した。これで署名企業は16社となった。
【参考】【アメリカ】政府とマイクロソフト等7社、責任あるAIで共同コミットメント発表。8項目(2023年7月30日)
【参考】【アメリカ】連邦政府、AI関連8社を招集し責任あるAIコミットメントを誓約。合計15社に(2023年9月15日)
また米商務省の国立標準技術研究所(NIST)は同日、責任あるAIに関連し、5つの文書を発表した。いずれも、米バイデン大統領が2023年10月に署名したAIの開発と利用での安全性確保に関する大統領令に基づくものとなっている。
【参考】【アメリカ】バイデン大統領、責任あるAIに関する大統領令に署名。8原則で具体的政策立案指示(2023年10月30日)
5つの文書のうち3つは、NISTが4月に公表した文書の最終版となっている。まず、既存のAIリスク管理フレームワーク(AI RMF)とセキュアソフトウェア開発フレームワーク(SSDF)の補助ガイダンスとして作成され、生成AI特有のリスクマネジメントについて規定された2つのガイダンス「AI RMF Generative AI Profile(NIST AI 600-1)」と「Secure Software Development Practices for Generative AI and Dual-Use Foundation Models(NIST Special Publication(SP)800-218A)」。もう一つが、米国のステークホルダーが、AI標準について世界中の他の関係者と協力するための計画を記した文書「NIST AI 100-5」。
さらにNISTが今回初めて公表した文書が2つ。まず、米国AI安全研究所(AISI)が、AI開発者が、生成AIやデュアルユース基盤モデル(有益または有害な目的のどちらにも使用できるAIシステム)から生じるリスクを評価し、軽減することを支援することを目的としてガイダンス「デュアルユース基盤モデルの悪用リスク管理に関するガイドライン」の草案。こちらは9月9日までパブリックコメントを募る。もう1つは、AIシステムのユーザーや開発者が、ある種の攻撃がAIシステムの性能をどのように低下させるかを測定するのを助けるために設計されたオープンソース・ソフトウェア「Dioptra」。
また、商務省の米国特許商標庁(USPTO)からも、AIを含む重要新興技術に対処するための特許の主題適格性に関するガイダンスを改訂。特許出願の審査官にとって基準の明確性と一貫性を強化した。さらに、米国電気通信情報局(NTIA)からは、広く利用可能な重みを持つ大規模なAIモデルのリスクと利点を検討するための報告書をホワイトハウスに提出した。同報告書では、モデルウェイトが広く利用可能なデュアルユース・ファウンデーション・モデル(すなわち「オープンウェイトモデル」)のリスクとベネフィットを検討し、リスクを軽減しながらベネフィットを最大化する政策を提言している。
国務省からは同日、AIと人権のリスクマネジメント・フレームワークとして「AIと人権のためのリスク管理プロファイル」も発行された。NISTのAIリスク管理フレームワークに基づき、AIの設計、開発、配備、使用から生じる人権へのリスクを特定し管理するための行動を、世界中の政府、企業、NGOに推奨していく。
ホワイトハウスは今回、それ以外にも、大統領令署名からの270日間で、安全保障や市民保護の観点から、各省庁での政策が展開されきていることを強調した。その一つとして、国務省が2023年11月に発表した「AIとオートノミーの責任ある軍事利用に関する政治宣言」への署名国が55カ国に拡大したことも挙げた。署名国には、カナダ、西欧諸国、北欧諸国の他、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、トルコ、バーレーン、モロッコ、ジョージア、リベリア、マラウィなどがある。
政府機関へのAI人材登用も進んでいる。すでに200人以上が採用されており、さらにエンジニアを職員として採用するインフラを構築するため、1億米ドル近い予算も発表された。
【参照ページ】FACT SHEET: Biden-Harris Administration Announces New AI Actions and Receives Additional Major Voluntary Commitment on AI【参照ページ】Department of Commerce Announces New Guidance, Tools 270 Days Following President Biden’s Executive Order on AI
【参照ページ】Political Declaration on Responsible Military Use of Artificial Intelligence and Autonomy
【参照ページ】Risk Management Profile for Artificial Intelligence and Human Rights
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