
社会格差分野の情報開示タスクフォース「不平等・社会関連財務情報開示タスクフォース(TISFD)」は9月23日、正式に発足した。当初は2024年6月までの発足を目指していたが、数ヶ月遅れて発足にこぎつけた。
【参考】【国際】不平等・社会関連財務情報開示タスクフォース(TISFD)活動開始。2024年にメンバー決定(2023年9月2日)
TISFDは、社会関連財務情報開示タスクフォース(TSFD)と不平等関連財務情報開示タスクフォース(TIFD)の双方の準備組織が統合したもの。2023年8月、両組織は統合を発表して、名称を「不平等・社会関連財務情報開示タスクフォース(TISFD)」にすると表明していた。気候関連情報開示タスクフォース(TCFD)が政府主導で、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が機関投資家とNGOの主導で立ち上がったのに対し、TISFDは、NGO等の社会団体の主導で組成されてきており、出自がやや異なる。
TIFDは、Predistribution Initiative(PDI)、Rights CoLab、アルゼンチン国際協力ネットワーク(RACI)、南部不平等研究センター(SCIS)の4団体が2021年7月に発足。同11月には国連開発計画(UNDP)も暫定事務局に加わった。TSFDは、世界大手企業のサプライチェーン・インクルージョン・イニシアチブ「Business for Inclusive Growth(B4IG)」が2022年6月の理事会で構想を発表。経済協力開発機構(OECD)の協力を得、ESGの「S」観点での開示フレームワーク策定に向け、タスクフォース発足準備を進めてきた。
TISFDの共同議長は4人。アルンマ・オテ元世界銀行副理事長、ピーター・バッカーWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)CEO、シャラン・バロー元国際労働組合総連合(ITUC)事務局長、ガブリエラ・ラモス国連教育科学文化機関(UNESCO)社会・人間科学担当事務局長補が務める。
創設パートナーには、国際労働機関(ILO)、経済協力開発機構(OECD)、国連開発計画(UNDP)、国連責任投資原則(PRI)、WBCSD、オックスファム、フェア・ファイナンス・アジア、カリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)、GSGインパクト、World Benchimarking Alliance(WBA)、Shift、シュナイダーレクトリック、マニュライフ、インクルーシブ・キャピタリズム協議会、Generation Investment Mangament、RACI、Rights Colab、PRE、ナチュラ、PODERが加わっている。
TISFDは2025年に、具体的な開示提言書をまとめるワーキンググループを発足する。またTISFDの活動には、ドイツ連邦経済協力開発省、スイス連邦経済事務局、ジェネレーション財団、ラウデス財団、フォード財団等が活動資金を拠出する。
TISDFの検討スコープは、まだはっきりとしていない。すでに意見公募を実施したが、様々な意見が寄せられている状況。共同議長の間でも、まだみている像は異なっている状況。
TISFDは9月27日、EUの金融報告フレームワーク検討機関European Financial Reporting Advisory Group(EFRAG)との間で、社会関連財務情報開示の開発と採用を促進することを向けた協力協定を締結。ワーキンググループに相互に参加することで合意した。EFRAGとしては、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)とTISFDの開示枠組の整合性を確保する狙いがある。
【参照ページ】Launch of the Taskforce on Inequality and Social-related Financial Disclosures (TISFD)
【参照ページ】Summary of Findings on the Proposed Scope and Mandate and Proposed Governance Model
【参照ページ】EFRAG and TISFD Sign Cooperation Agreement to Advance Social-Related Financial Disclosures
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