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【国際】WBAとITU、ICT大手200社のGHG排出量削減評価報告書。日本企業も14社対象

 ビジネスの国連持続可能な開発目標(SDGs)推進国際NGOのWorld Benchmarking Alliance(WBA)と国際電気通信連合(ITU)は9月30日、世界のICTセクターの気候変動のコミットメントと進捗を評価する報告書の2024年版を発表した。今年で第3回目の発行となる。

【参考】【国際】WBAとITU、ICTセクター大手150社のCO2削減評価報告書発表。日本企業も7社対象(2022年6月30日)

 同報告書は、ICT世界大手200社の温室効果ガス(GHG)排出量と電力消費量を算出し、ベストプラクティスをまとめたもの。日本企業では、前回の7社から増加し、キヤノン、KDDI、キーエンス、京セラ、村田製作所、NEC(日本電気)、任天堂、NTT、パナソニックホールディングス、楽天グループ、ソフトバンク、ソニーグループ、東京エレクトロン、東芝テックの14社が対象となった。

 同報告書では、200社のうち148社が2022年の電力消費量を報告しており、その合計は世界全体の1.9%を占める518TWh。上位10社は米国または東アジアに拠点を構えており、その合計は全体の51%を占めており、2021年の結果より9%増加した。

 スコープ1と2の排出量が多い上位10社は、中国移動通信(チャイナ・モバイル)、アマゾン、サムスン電子、中国電信(チャイナ・テレコム)、中国聯合通信(チャイナ・ユニコム)、TSMC(台湾積体電路製造)、SKハイニクス、アルファベット、マイクロン、BOE。

 電力消費量の上位10社は、中国移動通信(チャイナ・モバイル)、アマゾン、サムスン電子、中国電信(チャイナ・テレコム)、中国聯合通信(チャイナ・ユニコム)、アルファベット、TSMC(台湾積体電路製造)、マイクロソフト、AT&T、ドイツテレコム。 (出所)ITU

 アルファベット、アマゾン、マイクロソフト、ドイツテレコムの4社は100%再生可能エネルギーを調達しているが、必要な場所で常に入手できているわけではないとした。アジアのサムスン電子とTSMCは、RE100に所属しているが達成時期は2040年以降と遠い。中国の3社は再生可能エネルギー100%の調達へコミットしていない。

 2022年の再生可能エネルギーの調達割合を調査した結果、103社のうち16社が再生可能エネルギーを100%調達していることがわかった。具体的には、上記4社に加え、アップル、KPN、メタ、ネットフリックス、プロキシマス、セールスフォース、SAP、サービスナウ、スナップ、スイスコム、Tele2、テリア、VMウェア。

 今回の調査結果から、電力消費量が多い企業は東アジアで、再生可能エネルギーの利用では欧州に本社を置く企業がリードしていることが明らかとなった。再生可能エネルギーの導入拡大を促す政策やインセンティブの展開時には、こうした傾向を理解することが必要とした。

 ICTセクターのスコープ3排出量は、スコープ1、2排出量の6倍と報告。200社中27社のみが、スコープ3排出量に関する目標を掲げており、18社が基準年からのスコープ3排出量削減の目標達成ペースだとした。残りの9社はスコープ3排出量が増加している。

 スコープ3カテゴリー11「製品使用」では、上位10社は、サムスン電子、パナソニックホールディングス、ZTE、LG電子、ノキア、エリクソン、Uber、アプライドマテリアルズ、デル・テクノロジーズ、シスコシステムズの順。

 今回の調査では、多くの企業がスコープ3排出量の目標を未設定もしくは測定不能な目標としていた。理由として、サプライヤーからのデータ不足、ダブルカウント、アロケーション等によりスコープ3排出量を正しく測定すること難しいとしている。WBAとITUは、ICTセクターのスコープ3排出量の複雑性に対処するため、標準化、透明性の確保、野心的な削減目標設定に向けた取り組みの必要性を訴えた。

 また、AI技術の急速な成長によりエネルギー需要が増加し、GHG排出量が増加し続けると明言。グーグル、マイクロソフト、アマゾンの2020年以降の温室効果ガス排出量は62%増加し、2023年には4,700万tに到達。電気使用量は78%増の100TWhとなり、フィリピンのエネルギー消費量に相当する。

 AI技術の発展による環境への影響を緩和するためには、企業はイノベーションと持続可能性のバランスを取るとともに、AI技術の環境への影響を報告する際の透明性を向上させる必要性があるとした。

 WBAとITUは、ICTセクターの企業がサステナビリティ目標を達成できるよう、政府が監視フレームワークを整備し、グリーンエネルギーの利用を加速させる必要があると提言。エネルギー市場の自由化、許認可プロセスの煩雑さの軽減、再生可能エネルギーへの投資、グリッドの近代化、エネルギー貯蔵への投資等、政府の支援の必要性を伝えた。

【参照ページ】WBA and ITU publish third annual joint report assessing digital companies’ climate commitments and progress

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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