
 国連責任投資原則(PRI)は10月8日、2023年から検討を開始している「プログレッション・パスウェイ」に基づく署名機関の報告制度を2027年度の報告から求めていく方向性を発表した。今後、署名機関との調整を進める。
【参考】【国際】PRI、ESG投資の「進化(プログレッション)」パスウェイの策定作業開始。インパクトに焦点(2023年10月28日)
 プログレッション・パスウェイは、ESG投資手法の進化を指す概念。PRIは、機関投資家がESG投資を成熟させるためには長い時間を要すると考えており、幅広い署名を募りつつも、発展的に成熟度を向上させていくスタイルを採用しようとしている。プログレッション・パスウェイは、署名機関の成熟度を自主的に測るとともに、次のステップを示すことで、発展を促す狙いがある。
 10月にカナダのトロントで開催されたPRIの年次総会「PRI in Person 2024」では、インパクトを追求せず純粋に財務リターンの向上のみを目的とするESG投資を「パスウェイA」、財務リターンとともにサステナビリティ関連リスクへの対処を目的とするESG投資を「パスウェイB」、ポジティブインパクトの向上までを追求しながら財務ミッションを果たすESG投資を「パスウェイC」と定義。パスウェイA、B、Cのどれを選ぶかは署名機関の自由としつつ、各々のパスウェイで進化させていくためのステップを3段階で提示することを現段階の案として提示した。
 PRIは今後、既存の年次報告の設問内容を大幅に改訂していく考え。具体的には、アセットオーナーと運用会社向けの既存の設問内容を大幅に簡素化したものを「基本報告」とした上で、機関投資家の署名機関に対し、プログレッション・パスウェイに関連した報告書「プログレッション報告」の提出を任意で求めていく。サービスプロバイダー署名機関は初期段階では「プログレッション報告」の対象外となる。
 PRIはすでにテストグループとの間で内容の検討に入っている。今後のスケジュールでは、署名機関からのパブリックコメントを踏まえ、プログレッション報告の枠組とガイダンスを2025年後半に発表。署名機関は、基本報告の提出を2026年から、プログレッション報告の任意提出を2027年に開始することを予定しているが、スケジュールが変わる可能性もある。
 開発される「プログレッション・パスウェイ」は、PRI署名機関の特典として、当初は署名機関のみに公開される予定。プログレッション報告の提出内容についても、PRIのウェブサイトでの公開対象にできるか検討する。
【参照ページ】Progression Pathways: what are they and when will they be available?
    
    
	 
	
    
    
    
        
            
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