
金融庁と経済産業省は10月17日、ベンチャーキャピタルが内外の機関投資家からLPとして資金を調達する上での要点をまとめた「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項」を発表した。
今回の文書は、日本のVCの資金供給源は、事業会社等が多くを占めていることが、米国等に比べファンド規模が小さい要因と言及。ベンチャーキャピタルのガバナンス等が向上することで、ベンチャーキャピタルの新設や多様性を阻害することなく、国内外の機関投資家の資金がさらにベンチャーキャピタルに円滑に供給するようにしたいという政策意図を伝えた。
機関投資家からの資金を呼び込むための事項として、まず、受託者責任の一環として、必要な説明責任を果たすことや、LPの代表またはLPの指名を受けた者により構成される諮問委員会(LPAC)を設置する等、LPの意見が十分に反映されることを推奨した。さらに、GPのキーパーソンがファンド運営期間中に短期で離反し、別のVCで同様の投資を行うことがないよう、ファンド運営に専念する重要性について認識を徹底することを推奨した。
さらに、特定のLPに対し、他のLPに重大な悪影響を及ぼし得る個別権利の付与を行う場合には、他のLPにも情報提供が行われる等の透明性を確保することを推奨。コンプライアンス管理の責任者の明確化や非公表情報の取扱等の業務運営に必要な規程を整備していくことも推奨した。利益相反防止や、LPとGPの利害の一致に向けた対応、保有資産の公正価値評価についても推奨した。
また、スタートアップ・エコシステムを健全に発展させるためのGPのアクションとしては、中長期的なLPのリターン最大化に資する投資契約にすることや、投資先の経営支援や資本政策支援、エグジット時の売却価値の最大化が期待されるとした。加えて、ダイバーシティの観点も踏まえたESGを意識したファンド運営を行うことも検討することが期待され、その場合には、運営状況について LPに適切に報告することが期待されるとした。
【参照ページ】「ベンチャーキャピタルにおいて推奨・期待される事項」に対するパブリックコメントの結果等について
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