
世界経済フォーラム(WEF)は10月16日、世界のサイバーレジリエンス強化に関する報告書を発表した。新興技術によりサイバーセキュリティリスクは大幅に増加していくとし、アプローチを根本的に転換する必要があると提唱した。
同報告書では、「重要技術(Critical Technologies」と「新興技術(Emerging Technologies)」を区別し、従来重視されてきた重要技術だけでなく、新興技術にも焦点を当てたサイバーセキュリティを実現していくことを強調している。
重要技術とは、軍民の双方を含め、国家安全保障、経済競争力、社会ウェルビーイングにとって重要な技術。具体例として、AI、量子コンピューティング、半導体、バイオテクノロジー等が該当する。
一方、新興技術とは、開発段階や導入初期段階にある技術で、今後大きな影響を与える存在となりうる技術。具体例として、ポスト量子時代の暗号技術、ゲノム編集、精密医薬等が該当する。現段階では主に研究開発向けの投資が行われているが、将来的に重要技術になりうる。
そこで同報告書では、サイバーセキュリティのアプローチとして、製品の企画・設計フェーズからサイバーセキュリティ対策を組み込む「セキュリティ・バイ・デザイン」では、複雑化し進化し続ける脅威に対しては十分対応できないと指摘。完全に防御することよりもインシデントが発生することを前提とし、迅速に回復できる状態を確保する「レジリエンス・バイ・デザイン」への転換を推奨した。
レジリエンス・バイ・デザインを実現してく上での対策としては、量子コンピューティングやAIを活用したサイバーセキュリティツール開発等の研究開発への投資、産官学のセクター横断的なパートナーシップの構築、新興技術の展開とセキュリティと倫理のバランスを確保する柔軟な規制枠組み、サイバーレジリエンス計画の立案、新興技術を倫理的かつ安全な開発へ導くガンバナンス構造、継続的なモニタリングと適応の6つを挙げた。
【参照ページ】New Report Calls for Global Action to Drive Cyber Resilience in the Intelligent Age
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