
機関投資家の食品・小売関連イニシアチブ「Farm Animal Investment Risk and Return(FAIRR)」は12月4日、日本企業4社を含む水産世界大手7社に対する集団的エンゲージメントの初年度結果を公表した。水産サプライチェーンのトレーサビリティの改善を要求しており、エンゲージメントはすでに2年目に突入している。
同集団的エンゲージメントは、FAIRRが主導。世界自然保護基金US(WWF-US)、国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)の持続可能なブルーエコノミー金融イニシアチブ、World Benchmarking Alliance(WBA)、プラネット・トラッカーが後援している。また機関投資家35機関、運用資産総額6.5兆米ドル(約1,000兆円)が賛同している。活動資金は、コラー財団とゴードン&ベディ・ムーア財団が提供している。
集団的エンゲージメントの対象となっている7社は、三菱商事(東洋冷蔵の親会社)、丸紅(丸紅シーフーズの親会社)、日本水産、マルハニチロと、タイのCP(チャロン・ポカパン)フーズ、タイ・ユニオン、英ノマド・フーズ。時価総額、売上に加え、WBAのシーフード・スチュワードシップ・インデックス2023で、トレーサビリティ項目の評価が1以上であり、準備が最低限整っている企業が選ばれた。
【参考】【国際】WBA、シーフード・スチュワードシップ・インデックス2023発表。日系6社は二極化傾向(2023年10月20日)
賛同している機関投資家は、野村アセットマネジメント、DNBアセット・マネジメント等、35機関。このうち17社は、実際に企業との対話にも参加した。
同集団的エンゲージメントでは、WWFとフード・テクノロジー・インスティテュート(IFT)が2017年に創設した「シーフード・トレーサビリティに関するグローバル・ダイアログ(GDST)」が2020年に策定したトレーサビリティ実施基準をベースにしている。日本企業4社は、書面と対話の双方に対応。CPフーズは書面のみ、ノマド・フーズとタイ・ユニオンは対話のみに対応した。
(出所)FAIRR
結果は、7社全てが、サプライチェーンの透明性不足による重大な事業リスクを認識しているが、全ての食用の水産物と養殖用飼料で強固なトレーサビリティ・システムを導入する計画を公表している企業はゼロだった。また、強固なトレーサビリティの実現にコミットしているのは、CPフーズとタイ・ユニオンだけだった。丸紅と三菱商事は、特定の事業や魚種を対象とした部分的なコミットメントにとどまっており、マルハニチロ、日本水産、ノマド・フーズはそもそもコミットメントへの開示がなかった。
FAIRRは今回、世界の水産物市場は、牛肉、豚肉、鶏肉の合計よりも多いと指摘。透明性とトレーサビリティの欠如は、違法・無報告・無規制(IUU)漁業の隠蔽につながり世界の天然水産物の推定20%を占める上に、魚資源のサステナビリティを損ない、世界経済に毎年150億米ドルから360億米ドルの損害を与えていると警鐘を鳴らした。さらにEUだけでなく、米国の食品安全近代化法(FSMA)や日本の水産流通適正化法でも、トレーサビリティの重要性が強調されているとし、法規制面でのリスクが高まっていることも伝えた。
【参照ページ】Supply Chain Traceability Gaps Leave Global Seafood Giants at Risk Amid Mounting Investor Attention
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