
国際エネルギー機関(IEA)は9月22日、ASEANの電力セクターにおける変動性再生可能エネルギー(VRE)の導入向上を提言した報告書を公表した。10月15日にクアラルンプールで開催されるASEANエネルギービジネスフォーラム(AEBF)のハイレベル全体会議で報告される予定。
ASEANの電力需要は、2024年に世界平均の約2倍に相当する7%以上増加。急速な都市化、産業の成長、生活水準の向上により、2050年までに現在の2倍に増加する見込み。ASEAN加盟国の多くは輸入燃料に大きく依存しており、近年の世界的なエネルギー危機のような燃料価格の変動や供給断絶のリスクに晒されている。
同報告書では、ASEAN各国が豊富な再生可能エネルギー資源、特に風力発電と太陽光発電を活用し、急増する需要に対応しエネルギーに関する優先事項を達成する方法を概説。需要の増加に安全かつ手頃な価格で対応するには、再生可能エネルギー導入に関して地域全体の政策立案者、規制当局、電力会社による協調的な行動が不可欠と強調した。
ASEANにおける太陽光発電と風力発電の設備容量ポテンシャルは、20TWと推定されており、これは同地域の現在の総設備容量の約55倍に相当する。太陽光発電と風力発電は最もコスト競争力が高い選択肢の1つであり、エネルギー安全保障の強化、燃料輸入量の削減、温室効果ガス排出量の目標達成に貢献できるとした。
ASEANではすでに、ASEANビジョン2045及び2025年に更新されるASEANエネルギー協力行動計画(APAEC)にて、クリーンエネルギーの導入を強く重視。ASEAN加盟国10カ国中8カ国がカーボンニュートラル目標を掲げている。競争入札や直接電力購入契約(DPPA)といった政策手段は、再生可能エネルギーの導入を加速させるため、地域全体で拡大し続けている。
一方、VREの導入拡大に伴う短期的な課題について、IEAのVRE統合評価フレームワークを用いて評価。ベトナム以外のASEAN加盟国は、VREが電力システムに与える影響が軽微から中程度であるVRE統合フェーズ1と2の段階にあり、2030年までこのフェーズを維持すると予想した。
【参考】【国際】IEA、再エネの電力システム統合度で国別評価。日本は6段階で下から3番目(2024年9月19日)
フェーズ1や2の段階では、電力システムを大きく変更する必要はなく、VREの発電量や電力需要の予測精度の向上、ディスパッチ運用の最適化等、大規模な投資を必要とせずに費用対効果の高い統合が可能。また、スマートエアコン、電気自動車(EV)充電、蓄電等を通じたデマンドレスポンスの拡大は、消費者の電気料金を削減しながら、系統への統合をさらに促進する可能性があるとした。
【参照ページ】Southeast Asia can harness vast renewable resources to meet fast-growing electricity demand
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