米スターバックスは12月3日、パリで開催されたCOP21の中で、NGOのConservation Internationalおよび他のパートナー企業らとともに、コーヒーを世界で最初の持続可能な農作物にするためのイニシアチブ、Sustainable Coffee Challengeを開始すると発表した。
同イニシアチブは、持続可能なコーヒーの生産を業界の標準慣行とするべく、企業とNGOらが協働してコーヒー業界共通のサステナビリティ・フレームワークを開発することを目的としている。参加団体にはスターバックスをはじめ、Ceres、Fairtrade Associationら21団体が名を連ねている。今後、Conservation Internationalは100日間に渡ってパートナーらと共に今後の計画を作成し、来年3月にエチオピアの首都アディスアベバで開催されるWorld Coffee Conferenceにて最初のアクションプランを公表する予定だ。
スターバックスによると、現在世界のコーヒー豆の約50%がサステナビリティ基準に沿って生産されているものの、この数字にはこれまで同社をはじめとするコーヒー企業が取り組んできた持続可能な農業慣行を支援するための多額の投資が考慮されておらず、さらに市場においてはコーヒー全体の12%しか「Sustainable Coffee(持続可能なコーヒー)」として販売されていないという。
今回のイニシアチブ設立にあたり、CIの会長兼CEOを務めるPeter Seligmann氏は、コーヒー業界全体に共通する「サステナビリティ」の定義、およびその進捗度合いを測定するための基準の必要性を指摘した。
また、スターバックスの副社長を務めるCraig Russell氏は「コーヒー業界の存続は、世界中のコーヒーに関わるコミュニティの社会・経済・環境の状況に直接関わっている。スターバックスは全てのコーヒーを地球に配慮した可能な限り最も倫理的な方法で調達することにコミットしている。我々は将来の農家やその家族の暮らしを保証するための有意義かつ継続的な解決策に焦点を当てた呼びかけ、Sustainable Coffee Challengeの一員であることを誇りに思う」と語った。
現在世界では毎年6000億杯ものコーヒーが飲まれており、コーヒーに対する需要は拡大し続けている一方で、世界の主たるコーヒー生産地では既に温暖化や干ばつ、異常気象などの気候変動により生産に大きな影響が出始めている。
Sustainable Coffee Challengeは、持続可能な生産慣行の推進により、コーヒー業界全体の経済的な発展に寄与するだけではなく、世界2500万のコーヒー農家の生活や地域の環境などにも大きな恩恵をもたらすことが期待されている。
世界のコーヒー農家のほとんどは小規模農家であり、コーヒー業界のサステナビリティを担保するためには持続可能な農業慣行の推進を通じてそれらの農家の生活を向上させ、気候変動にレジリエントなサプライチェーンを構築することが必要不可欠となる。業界全体のコレクティブ・アクションとして今後Sustainable Coffee Challengeがどのような取り組みを展開していくのか、来年の発表に期待したい。
【参照リリース】Making Coffee the World’s First Sustainably Sourced AgriculturalProduct
【参照リリース】Can Coffee Become the World's First Sustainable Agricultural Product?
【団体サイト】Conservation International
【企業サイト】Starbucks
(※写真提供:NorGal / Shutterstock.com)
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