米調査会社大手のGartner, Inc.が先月公表した報告書“Hype Cycle for Green IT and Sustainability in India, 2014”によれば、インドにおける2014年のグリーンIT・サステナビリティ関連投資額は2013年の292億USドルから14.4%増加し、340億USドルに到達したという。
同報告書は、インド企業ではフィランソロピー活動としてのCSRを越えて、事業のコアとなるオペレーションへのCSRの統合が進んでおり、今後も企業のコミットメントや政府の規制が更にグリーンでサステナブルなテクノロジーと事業慣行を加速させるだろうとしている。
Gartnerでリサーチ担当副社長を務めるGanesh Ramamoorthy氏は「インド企業のほとんどがオペレーションコストの削減を目的として何らかのグリーン・イニシアチブを実行している。特に石油やガス、採掘業、製造業など環境へ大きなインパクトをもたらしている業界では、再生可能エネルギーの利用拡大に沿う形でサステナビリティ分野において他業界をリードしている。また、エネルギーと水が運用コストの大部分を占めているIT業界ではそれほどでもないが、通信やテレビ、金融業界は大きく遅れをとっている。また、気候変動対策に関して言えば明確に焦点を定めている企業は多くない」と語った。
インドではサステナビリティ、グリーンテクノロジー、気候変動問題に対する意識は高まりつつあるものの、オペレーションコストの削減、規制や情報開示義務の遵守、そして投資家、顧客、消費者などステークホルダーからの要求に応じた気候変動リスクや機会に関する報告など、企業が取り組むべき課題も未だに多く、ESGの領域におけるグリーンテクノロジーやサステナビリティ関連市場は今後も拡大し続ける見込みだ。
今年の調査では、Gartnerは新たに「スマートシティ構想」「エネルギー管理」そして「グリーン・データセンター」の3つを加えており、合計36のテクノロジーを取り上げている。
(Gartner Says India Green IT And Sustainability Spending To Reach $ $34 Billion In 2014より引用)
Ramamoorthy氏曰く、「今年のハイプ・サイクル(特定の技術の成熟度、採用度、社会への適用度を示す曲線。Gartnerが提唱。)上で最も大きく動いたのは太陽エネルギー技術だ。より多くの州政府が太陽光への移行の流れに乗り具体的な政策やインセンティブによって投資家を惹きつけ、多くの新しいプロジェクトが委託された結果、太陽エネルギー技術は”Slope of Enlightenment(回復期)”へと移行した。また、CSRレポーティングツール、サステナブルな事業慣行やコンサルティングサービスなども後に続いている」とのことだ。
2013年の会社法改正により昨年4月から大手企業のCSR義務化が始まったインドでは、CSR・サステナビリティの事業への統合が一大トレンドとなりつつあり、CSR・サステナビリティ関連サービス市場も拡大している。既にITの分野ではグローバルにおける存在感を高めつつあるインドが、グリーンテクノロジー・サステナビリティの分野においてどのようにリーダーシップを発揮していくのか、今後の成長が引き続き注目される。
【レポートダウンロード】Hype Cycle for Green IT and Sustainability in India, 2014
【企業サイト】Gartner, Inc.
(※写真提供:Radiokafka / Shutterstock.com)
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