女性が企業の役員に登用され、その職に留まるうえで重要な決定要素となっているのは、社会において女性が持っている経済的な影響力だとする研究結果が公表された。「経済的な影響力」はその社会において女性が得られる教育期間や労働への参画機会など、役員会議室の外にある要因により規定されており、かつそれらの要因は女性が役員に登用される上で多大な影響を持っているという。
この研究はバンク・オブ・ニューヨーク・メロン、ニュートン・インベストメント・マネジメントらの委託によりケンブリッジ・ジャッジ・ビジネス・スクールのSucheta Nadkarni教授が主導して行ったもので、Forbes Global 2000社から41か国、1,002社を対象に10年間に渡る分析を行った結果、上記の結論に辿り着いた。
研究結果によると、女性の経済的な影響力が最も強い国としてはオーストラリア、ノルウェー、デンマークが挙げられ、一方でサウジアラビア、インド、UAEなどは最下位となった。
また、同研究では男女平等主義や人道主義、積極性に対する国家共通の価値観や信条が、女性の経済的な影響力に大きく関わっていることが明らかになった。具体的には、それらの価値観が女性の役員登用については大きな影響力を持っている一方で、在職期間にはほとんど影響を及ぼしていないことが分かった。また自己主張や積極性な行動を重んじる文化を持つ国においては、女性が役員になるのは難しい一方で、一度役員に登用された女性の在職期間は長い傾向があるという。
なお、文化的な規範は国によって様々に異なる一方で、先進国と新興国という分け方でははっきりとした違いは見られなかった。例えば、北欧諸国やフランスやオランダなど欧州諸国においては、男女平等主義が女性役員の増加に大きな影響を与えている一方で、男女平等に対する意識が低いドイツ、中国、韓国やカタールといった国々では、女性役員の数は依然として少ないままだという。
さらに、女性役員比率を定めるといった割当制度は、女性の役員登用には効果的なものの、在職期間については大きな影響をもたらさないことも分かった。なお、フレキシブルな勤務時間や職場復帰の制度など、子供を持つ親のための働きやすい制度は女性の役員登用および在職期間の長さの双方に大きな影響を持っているという。
同研究が示しているのは、女性の役員登用状況や在職期間の長さには、企業らによる制度的な努力だけではなく、国家としての価値観や社会における女性の経済的な影響力が強く関係しているという点だ。国ごとに異なる文化的な要素も考慮すると、女性の役員比率や在職期間などを単純に各国比較する以上のことが見えてくる。同研究についてより詳しく知りたい方は下記からどうぞ。
【レポートダウンロード】The Rise of Women in Society: Enablers and Inhibitors
【参照リリース】Women’s Economic Power is Key Determinant of Women Reaching and Staying on Boards – New Global Study reveals
【企業サイト】Neuton
【企業サイト】BNY Mellon
【大学サイト】Cambridge Judge Business School
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