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【アメリカ】83%はCSRレポートを見ていない。求められる情報発信の形とは?

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 米広告代理店のCone Communicationsが発表した消費者向けCSR意識調査"2015 Cone Communications/Ebiquity Global CSR Study"によると、米国人の82%が企業に対して社会的・環境活動を期待しているにも関わらず、企業のそうした活動や成果を示すCSRレポートを過去一年間で読んだ人はわずか17%しかいないことが明らかとなった。このギャップは、企業はCSR情報開示の方法を消費者やステークホルダーが望む形へと進化させていく必要性を示している。

 一般的に企業のCSRレポートはPDFを基本とした100ページにもおよぶ分厚い資料となっていることが多いが、今回の調査では、米国人にCSRのデータやコミットメントがどのような形式で開示されるべきか尋ねたところ、現在のような包括的なレポートが良いと回答した人はわずか18%にとどまり、42%が簡潔なサマリー、36%がウェブサイト、29%が動画による公表がより効果的だと回答したという。

 Cone CommunicationsでCSR戦略グループの副部長を務めるLisa Manley氏は「各ステークホルダーが関心を寄せるコミットメントは異なるため、CSRレポートの情報も各対象に効果的に届くようカスタマイズされるべきだ。投資家は確実な指標を求めるのに対し、消費者は対話方式のウェブサイトや短いスナップショット、おもしろい動画などに惹かれるものだ。企業が各ステークホルダーの関心を最もよく惹きつける工夫をしながら、CSRレポートをより良いものへと革新していく余地は十分にある」と語る。

 Cone Communicationsは、企業がCSR報告を発展させ、ステークホルダーとより効果的なコミュニケーションをとるための方法として下記5つのヒントを提案している。

1. フォーマットの刷新

現在の長いPDFレポートはあくまでフォーマットの一例に過ぎないことを認識し、CSRデータのインフォグラフィック化やアプリの開発など、相手に伝わるフォーマットを考える。

2. ストーリーテリング

詳細なデータや数値だけではなく、成功に至るまでのストーリーを織り交ぜることでバランスを取ることが重要。米国人の66%がCSRコミットメントやその成果を知るうえでデータとストーリーの双方が重要だと考えている。

3. 楽しさ、インタラクション、手軽さ

レポート読者が複雑な統計や長文を流し読みするのではなく、最も興味のある内容に焦点を当てられるよう、動画や画像、インタラクティブチャートなどを組み込んだウェブサイトで関心を促す。

4. ソーシャルメディアの活用

CSRデータの要点やコミットメントに関する情報などを読者がSNS上で容易に共有できるよう工夫して、CSRレポートをより身近なものにする。

5. リアルタイム化

CSR活動は一年に一度更新するのではなく、特に重要な取り組みの進捗状況やイベントに関してはリアルアイムで年間を通じて常に発信していく。

 ここ数年は特に投資家を意識したCSRレポートの開発が進み、より網羅的で専門的なレポートづくりに注力してきた企業も多いが、消費者行動がますます企業のブランドや企業価値に大きく影響を与えるようになることを踏まえると、今後は包括的なPDFレポートに加え、専門家ではない一般消費者向けにもわかりやすく楽しいCSR情報の発信に積極的に取り組んでいくことが求められそうだ。

【レポートダウンロード】2015 Cone Communications/Ebiquity Global CSR Study
【参照リリース】As 2014 CSR Reports File In, Research Shows Companies Must Go Beyond a PDF
【企業サイト】Cone Communications

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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