ノルウェーの生命保険大手KLPは6月22日、責任投資としてのネガティブスクリーニング(投資対象からの銘柄除外)で、新たに36社の投資先からの除外を発表した。KLPは運用資産総額約2,800億ノルウェークローネ(約3兆4,000億円)の同国生命保険大手企業。生命保険の外、地方政府公務員の年金基金の役割も果たしている。今回除外先に指定された36社のうち、31社は石炭関連企業。ノルウェーの公的年金基金の投資顧問を務めるノルウェー銀行(ノルウェーの中央銀行)が昨年4月に石炭関連企業52社の投資除外指定を決定しており、それを追随する形となった。
今回の投資除外指定は、KLPが半年ごとに行う持分保有状況の見直しの結果で、2016年6月に決定した。石炭事業で株の売却を決めた31社の中、北海道電力、沖縄電力といった日本の企業以外にも、DTE Energy、Union Electric Co.といった米国の電力会社もはじめ、世界の大手電力会社が含まれている。KLPは今回発表した31社のうち、7社の株を保有していたが、すでに市場で売却されている。石炭関連の投資除外では、KLPは企業売上のうち石炭からの売上が30%以上を占める企業を新たに今回4社投資除外に指定することを決めている。
投資除外指定された36社のうち残る5社は、中国のZTE、ブラジルのペトロブラス、アイルランドのSan Leon Energy、シンガポールのST Engineering Financial、インドネシアのHM Sampoerna。ZTEとペトロブラスは、政府への汚職の疑いが強いとした。その他は、San Leon Energyは他の企業倫理違反、ST Engineering Financialは武器事業への関与、HM Sampoernaはたばこ事業への関与が除外指定の理由。
一方、2013年6月に西サハラ沿岸での事業活動で倫理違反を指摘され投資除外指定されたフランスの石油会社トタルに関し、同社が西サハラ沿岸での石油開発事業を停止されたことを評価、投資除外指定を解除したことも発表した。
現在KLPが投資除外指定している企業数は159社。73社は石炭採掘および石炭火力発電への関与、25社はたばこ事業への関与、23社は武器事業への関与、21社は深刻な環境破壊、3社は汚職、7社は企業倫理違反、7社は人権違反など。
石炭採掘や石炭火力発電に関与する企業の投資除外指定は、欧米で全面的に支持されているわけではないが、北欧の年金基金では一般的となってきたと言える。
【参照ページ】36 new companies excluded, 1 reincluded
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