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【アメリカ】ワシントンDC地方政府、全米初の「環境インパクトボンド」を発行

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 米国首都ワシントン地域を管轄するコロンビア特別区政府の上下水道局は9月29日、米政府として第1号となる「環境インパクトボンド(EIB)」を発行したことを明らかにした。環境インパクトボンドの発行額は2,500万米ドル(約26億円)で、同上下水道局が取り組んでいる26億米ドル(約2,740億円)規模の豪雨時の排水インフラ強化及び飲料水の水質改善プロジェクトの資金に供される。発行された環境インパクトボンドは、投資銀行世界大手ゴールドマン・サックス都市投資グループとカルバート財団が購入した。

 今回の話題である環境インパクトボンドとは新しい種類の債券。同様のスキームに社会課題の解決プロジェクトのために発行される「ソーシャルインパクトボンド(SIB)」があるが、環境インパクトボンドはその環境版。ソーシャルインパクトボンドも環境インパクトボンドも、一定の利回りを投資家に還元する従来の債券とは異なり、プロジェクトの成果に応じて利回りが変動するところに特徴がある。その特徴を、すでに実績のあるソーシャルインパクトボンドを例に見てみよう。2012年に米国政府は、刑務所の受刑者更生プログラムに対してソーシャルインパクトボンドを発行した。この取組では、更生者の再犯防止が成果指標となり、更生者のうち再度服役しなかった人数に応じて投資家に利払いをした。発行した政府としては、再犯防止が実現されると警察、司法機関、刑務所での行政コストを削減でき、この削減できた行政費用分がソーシャルインパクトボンドの利払いの原資となる。このプロジェクトではゴールドマン・サックスが債券を購入した。ソーシャルインパクトボンドは、2010年に英国政府で初めて導入され、今では日本でも発行実績がある。

 今回の環境インパクトボンドも仕組みは同じだ。ワシントンDCでは、豪雨時に通常の排水管で処理できない大量の水を、汚水用の下水を利用して処理する「合流式下水道」が広く普及しているが、豪雨時に合流式下水道までもが氾濫すると、汚水を散乱させることとなり、環境や健康被害をもたらしてきた。今回のプロジェクトでは、自然環境を利用して自然に雨水を吸水できるグリーンインフラを構築し、合流式下水道の氾濫数を削減していく。環境インパクトボンドは、氾濫数の削減など事前に取り決められた成果指標に応じて、投資家にリターンを支払っていく。同上下水道局は、今回の取組を成功させ、他の自治体にも環境インパクトボンドを用いた同様の取組を広げていきたい考えだ。

【参照ページ】DC Water Environmental Impact Bond Closed  

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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