印財閥大手タタ・グループは、一部事業で自然資本プロトコル(NCP)に基づく自然資本アセスメントを実施した。NCPに基づくアセスメントは、企業がサステナビリティレベルを改善するために自主的に行うもので、従来の環境評価よりも広範囲で包括的に実施することが特徴。今回タタ・グループは、対象事業として、鉄鋼子会社タタ・スチールの資源採掘部門、電力子会社タタ・パワーの水力発電部門、化学子会社タタ・ケミカルのソーダ灰工場、自動車子会社タタ・モーターズのプーネ事業所、コーヒー子会社タタ・コーヒーの農園を自主的に選定し、結果を対外的に公表するため実施した。
【参考】【国際】自然資本連合(NCC)、ついに「自然資本プロトコル」初版を発行(2016年8月1日)
タタ・グループは、社会全体への影響を広く分析するため、自社だけでなく、上流サプライチェーン、下流サプライチェーンも含めて自然資本アセスメントを実施。二酸化炭素排出量、大気汚染、水質汚染、生物多様性、固形廃棄物のインパクト評価では、経済的価値評価も含めた定量評価を行った。また、海水、石灰については資源依存度の経済的価値評価・定量評価を行った。データ収集が難しかった水消費量、土地利用のインパクトや、天然水への依存度については定性評価を行った。インパクト評価を行う上では、社会・経済価値評価の算出も必要となるが、直接的なデータが採れないところは代理データ(Proxy Data)を活用。しかし、代理データの分析が難しい内容もあり、そこは今後の課題とした。
タタ・グループは、今回NCPを活用した目的について、「今後の事業戦略構築に向けたインサイト獲得」「インパクトを理解した上でのリスク管理」「サプライチェーン・エンゲージメント」「統合報告を通じた対外的コミュニケーション」と説明。成果としては、取締役やCEO、CFO、COO等経営陣に自然資本アセスメントの重要性を認識してもらうことができたことと語った。現在、タタ・グループでは、設備投資の意思決定を精緻化する上での内部炭素価格付けの導入も検討。今後は、自然資本アセスメントを他の事業部門にも拡大し、自然資本価値を経営の意思決定の中に組み入れていく取組を続けていく。
【参照ページ】Natural Capital Protocol: Case Study for Tata Group
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