「フォーチュン500」、「フォーチュン・グローバル500」などで知られる米ビジネス誌のフォーチュン誌は8月20日、事業を通じて社会に変革をもたらしている企業ランキング「Change the World 2018」を発表し、トップ57社を選出した。このランキングは2015年から開始され、今年で4年目。選出対象は年間売上10億米ドル以上の企業。ランキングの発表は、ハーバード・ビジネス・スクールのマイケル・ポーター教授やマーク・クラマー教授らが設立したコンサルティングNGOのFSGとCSV推進機関Shared Value Initiativeが協働で実施している。「Change the World」ランキングの特徴は、マイケル・ポーター教授らが提唱する「CSV(共通価値創造)」の観点から、(1)企業が生み出したソーシャルインパクト、(2)ソーシャルインパクトが企業自身にもたらした成果、(3)イノベーションの3つの観点で、独自に企業評価を行う点にある。
Change the World 2018 トップ15企業
- Reliance Jio(通信)(インド)
- メルク・アンド・カンパニー(MSD)(医薬品)(米国)
- バンク・オブ・アメリカ(金融)(米国)
- インディテックス(アパレル)(スペイン)
- アリババ・グループ(IT)(中国)
- クローガー(食品)(米国)
- ザイレム(水インフラ)(米国)
- ABB(化学)(スイス)
- ウェイト・ウォッチャーズ(ヘルスケア)(米国)
- Hughes Network Systems(通信)(米国)
- ダノン(食品)(フランス)
- アルファベット(IT)(米国)
- ウェスファーマーズ(食品)(オーストラリア)
- ブラスケム(化学)(ブラジル)
- インテル(IT)(米国)
Change the World 2018 日本企業
31位 トヨタ自動車(自動車)
評価観点である「ソーシャル・インパクト」では、社会課題に対して企業が影響を発揮したソーシャル・インパクトをフォーブスとFSCが独自の情報源を活用して評価を行っている。また、「企業自身にもたらした成果」の観点では、そのソーシャル・インパクトがもたらした企業への具体的な財務的価値を測定しており、とりわけ収益性の向上や株式価値の貢献に繋がった場合は高く評価される。一方で、レピュテーションや従業員満足などの成果に関しては考慮されるものの相対的な価値は収益貢献などより低い。「イノベーション」観点では、ソーシャル・インパクトをもたらし活動が革新的であり、他の企業にとっても広がりを見せる可能性のあるものが高く評価された。
同ランキングは、毎年ランクインする企業が大きく変わる傾向にある。昨年から2年連続でトップ15入りを果たしたのは0社。しかしながら、昨年の15位以内企業のうち、JPモルガン・チェース18位、DSM26位、アップル24位、ウォルマート16位、リーバイ・ストラウス37位等は今年もランクインした。
日本企業では、2015年に3位にランクインしたトヨタ自動車は、2016年にはトップ50から姿を消したが、昨年は8位に復活。今年も31位にランクインした。一方、2016年にトップ50入りしていた伊藤園とパナソニックは今年もランクインできなかった。
新興国企業の台頭も目立ち、今年はトップ15内に、中国企業が1社、インド1社、ブラジル1社が入った。16位以下でも、インドのマヒンドラ・アンド・マヒンドラが23位、インドネシアのBank Rakyat Indonesiaが40位、中国のJD.com(京東商城)が45位、滴滴出行が53位に入るなどしている。
また、今年も昨年に続き、売上10億米ドル未満の企業の中から「Rising Star」として傑出した6社を選出。医療アプリ提供Dexcom(米国)、電子送金Wari(セネガル)、EコマースEtsy(米国)、異文化コミュニケーション研修EF Education First(スイス)、冷蔵設備販売Aucma(中国)、ヘルスケアアプリThrive Global(米国)の6社が選ばれた。
【参照ページ】Applauding the Changemakers Behind Fortune's Change the World List
【ランキング】Change the World 2018
【参照ページ】6 Small Companies With a Big Social Impact
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