国連責任投資原則(PRI)、国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)、米Generation Foundationの3者は10月22日、ESG投資とフィデューシャリー・デューティー(受託者責任)の関係を分析した報告書の最終版を発表した。3者は、フィデューシャリー・デューティーの捉え方が、投資家のESG投資シフトを阻害していると考えており、正しい捉え方を整理してきた。今回の最終報告書は、2014年に発表した報告書をアップデートしたもの。
同レポートは、金融規制の中にESG基準を導入することを極めて重要になってきていることを示し、受益者にとってのフィデューシャリー・デューティーの概念を明確するよう各国政府に要請した。また、EU、英国、カナダ、中国東では、フィデューシャリー・デューティーの概念にESGの考え方を組み入れている動きが出ていることを歓迎。一方、米国については、進展がみられないことに懸念を評した。
同レポートは、最新のアップデートとして、ESGを投資分析や投資意思決定プロセスに組み入れることが、フィデューシャリー・デューティーの観点からも要求されるものであり、投資先の企業や発行体に高いESGパフォーマンス基準を採用するよう促すことや、受益者や預金者のサステナビリティ嗜好を考慮すること、これらへのコミットメントを開示することも、フィデューシャリー・デューティーの一部とした。
フィデューシャリー・デューティーの概念が変化してきた背景については、気候変動や持続可能な開発という課題が金融システミックリスクや機会となり、そのために目標を定めた明確なアクションが要求されるようになったことを挙げた。
3者は、今回の最終報告書をもって、ESG投資がフィデューシャリー・デューティーに反しないかというテーマについては決着がついたと結論づけ、今後はどのように金融規制や投資関係者に義務付けていくかに話題が移っていくとまとめた。
【参照ページ】AN UPDATED LOOK AT FIDUCIARY DUTY IN THE 21ST CENTURY: INCORPORATION OF ESG ISSUES A REQUIREMENT
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