経済協力開発機構(OECD)は12月11日、持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために、OECD加盟国政府に対し、国家政策とSDGsとの一貫性を求めることを定めた原則「持続可能な開発のための政策一貫性に関する勧告(Recommendation on Policy Coherence for Sustainable Development:PCSD)」を採択した。
今回の勧告は、OECDが2010年に採択した「Recommendation of the Council on Good Institutional Practices in Promoting Policy Coherence for Development」を改正し、名称も変更したもの。今回、OECDの開発援助委員会(DAC)と公共ガバナンス委員会(PGC)が改正を起案した。OECDには現在、先進国34カ国が加盟している。
今回の勧告の背景には、SDGsを各国での政策に反映させるための課題として、人々と未来の人々のウェルビーイングに悪影響を及ぼさないようにしつつ、相互に関連している経済、社会、環境の各々目標をバランス良く追求していくことが難しいと、多くの加盟国が認識していることがある。そのため、SDGsを達成するための具体的指針やポイントを3つの柱、8つの原則でまとめた。
一つ目の柱は「戦略的なビジョンとリーダーシップ」。具体的な原則として、「政治的なコミットメントとリーダーシップ」「戦略的な長期ビジョン」「統合的な政策」の3原則が示されている。強力なリーダーシップの下、明確な優先順位づけや時限付きアクションプラン、KPIなどを設定し、シナリオ分析やシステム思考アプローチをはじめとした既存のツールを最大限活用して逆機能を抑えつつ統合的な目的を達成することを勧告した。
二つ目の柱は「政策的な相互作用」。原則は、「政府全体としての調整」「地方行政への適切なエンゲージメント」「ステークホルダーへの効果的なエンゲージメント」の3原則。政府内のハイレベル調整機関やメカニズムを利用し、省庁間や異なる規模の地方行政間の連携を促進し、ステークホルダーとともに国民意識の向上を追求すること等を勧告した。
三つ目の柱は「政策インパクト」。そして原則は、「政策とファイナンスインパクトの分析と評価」「モニタリング・報告・評価のシステム強化」の2つ。特に発展途上国の経済・社会・ジェンダー・環境的影響や人権保護に注意を向け、国家全体・地域別など様々なレベルでのデータを収集し、定期的なレポートを作成すること等を勧告した。
【参照ページ】OECD Recommendation on Policy Coherence for Sustainable Development
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