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【イギリス】イングランド銀行、気候変動ストレステストのシナリオ発表。まずはお試し実施

 英イングランド銀行は6月8日、銀行及び保険会社を対象に実施予定の気候変動ストレステストに関し、初回の分析で活用する気候変動シナリオを発表した。今後ストレステストを実施し、2022年5月に初回の分析結果を発表する。

【参考】【イギリス】英政府諮問機関、首相にグリーンリカバリー推進を勧告。英中銀も気候変動リスク監督強化続行(2020年5月9日)

 英国での金融機関向け通常のストレステストは、イングランド銀行の健全性監督機構(PRA)が担当。毎年行う年次シクリカル・シナリオ(ACS)に加え、2017年からは2年毎に行う隔年探索シナリオ(BCS)での分析も追加した。ACSは、マクロ経済・金融での危機発生時の自己資本比率や流動性の健全性を検証しているのに対し、BCSはシクリカルではない中長期的な変化に対するショックでの健全性をチェックしている。

 今回発表した「気候隔年説明シナリオ」は、BCSの一つとして運用される。シナリオは、気候変動に関する金融リスクを検討するための中央銀行・金融当局ネットワーク「気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク(NGFS)」が策定した気候変動シナリオに基づき、早期対策実施シナリオ、対策遅延シナリオ、対策なしシナリオの3つを用意した。移行リスクと物理的リスクの双方を分析対象とする。

【参考】【国際】NGFS、中央銀行・金融当局向けの気候変動シナリオ分析ガイド発行。独自シナリオも提示(2020年6月29日)

 気候変動ストレステストでは、2020年末の貸借対照表を基に、個社と金融システム全体の財務エクスポージャーを測定する。特に銀行では融資残高に、保険会社では資産と負債の双方に焦点を当てる。定性調査も行い、金融機関自身のリスク見解やマネジメント・アプローチも聴取する。その上で、ビジネスモデル課題とリスクを把握し、対策が必要となる分野を炙り出す。また、各社の取引先大手に関する詳細分析も行うことで、取引先に対するエンゲージメント推奨内容等も探る。

 今回の実施する初回のストレスとテストは、実験的な意味合いが強く、分析手法等のラーニングに力点が置かれている。

【参照ページ】Bank of England publishes the key elements of the 2021 Biennial Exploratory Scenario: Financial risks from climate change

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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