欧州委員会は8月26日、バルト海の2022年の漁獲量案を採択した。今後、EU理事会での承認手続きに入る。EU諸国は決定された漁獲量に基づき、個別の漁獲枠を設定していく。バルト海は、主要魚種の資源量が減少しており、特にタラやニシンでは漁獲制限がかけられている。
バルト海の資源量では、過去10年間で科学的根拠に基づき、8つの魚種のうち7つの魚種で、最大持続可能収穫量(MSY)の原則に沿って漁獲上限量が設定
されてきた。しかし2019年の科学調査では、資源量が悪化していることが発覚。EUは大幅な規制強化に乗り出している。
欧州議会とEU理事会は2016年にバルト海での複数年の管理計画を設定することで合意。今回決定された漁獲可能量(TAC)は、国際海洋探査評議会(ICES)の査読論文に基いている。
タラに関しては、東部バルト海での状況が悪化事態が改善していないため、2021年のTACを維持。西部バルト海は、国際海洋探査委員会(ICES)からの科学的助言が9月中旬に延期されたころから、9月中旬までに検討するものの、欧州委員会としては、資源量回復のための漁業中止を提案する考え。
ニシンでは、西部バルト海のニシンの資源量は依然として安全な閾値を下回っており、科学者からは4年連続でニシンの漁獲を中止するよう勧告されている。欧州委員会は、ニシン漁の中止を継続し、混獲分についてもTACを設定することを提案した。さらに、中央バルト海のニシンは、資源量が持続不可能な限界に極めて近いところまで落ち込んでいるため、ICESの助言に沿って54%の削減を提案。また、ICESの勧告に沿って、ボスニア湾のニシンのTACを5%減少させる一方、リガではTACを21%増加させることを提案した。
鮭は、国際海洋探査委員会(ICES)からの科学的助言が9月中旬に延期されたころから、欧州委員会の提案も延期。しかし、4月のICESの特別勧告では、商業漁業と娯楽漁業の双方で現状レベル維持した場合、最大持続可能収穫量(MSY)を下回ると示されている。
ヨーロッパツノガレイとスプラットでは、ICESからはTACの増加が容認されているが、欧州委員会はTACの維持を提案。背景には、ヨーロッパツノガレイではタラの混獲が、スプラットではニシンの混獲が生じるため。
【参照ページ】Fishing opportunities in the Baltic Sea for 2022: improving long-term sustainability of stocks
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