INPEXは2月9日、長期戦略と中期経営計画を発表。2050年カーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出ゼロ)と、2030年での原単位排出量30%削減を宣言した。但し、投資計画では、化石燃料重視の姿勢を鮮明にした。
今回同社は、水素・アンモニア、CCUS(炭素回収・利用・貯留)、再生可能エネルギー、カーボンリサイクル、森林の5分野を「ネットゼロ5分野」と定義。2030年までに7,000億円から1兆円程度を投資し、2030年に営業キャッシュフローを1割程度にまで引き上げるとの目標を掲げた。
具体的分野では、水素・アンモニアでは、3件以上を事業化し年間10万t規模。水素生産はグリーン水素ではなくブルー水素。CCUSは、豪イクシスでの圧入と、新潟県南阿賀とアブダビでのEOR(石油増進回収)によるCCSで年間250万tとした。再生可能エネルギーは、浮体式洋上風力発電や地熱発電で、現状の500MWを、1GWから2GWにまで比較的少なめに拡大。カーボンリサイクルは、メタネーションを主眼とし、年量は2030年に6万t、2035年に36万tの生産体制を目指す。森林は、カーボンクレジットで年間200万tを打ち出した。
一方で、石油への投資は2030年までの3.8兆円から4.4兆円とし、「ネットゼロ5分野」を大幅に上回る投資を計画。これらを「バランスの取れたポートフォリオを構築」と呼んだ。原単位削減では、ガス投資比率を現在の50%程度から70%程度へと引上げ、ガスシフトを図る。天然ガス開発は、アジア・オセアニアが中心。また、2030年までに通常操業時のゼロフレア実現をスコープ1を削減するとともに、CCUSでの回収も重要な施策とした。石油・ガス全体でも、豪州・アブダビ・東南アジア・日本・欧州の5つの地域をコアエリアとして設定した。
同社は1月31日、同社が販売する「カーボンニュートラルガス」英国規格協会が2014年に策定したカーボンニュートラル規格「PAS2060:2014」を基に、ソコテック・サーティフィケーション・ジャパンから第三者認証を取得。但し、液化天然ガス(LNG)の国際業界団体「LNG輸入者国際グループ(GIIGNL)」は2021年11月、輸送LNGのカーボンニュートラル化に関する定義フレームワークを策定しており、同フレームワークでは、カーボンオフセット手段では「カーボンニュートラルLNG」と名乗れないとされている。
【参考】【国際】LNG輸出者国際グループ、「カーボンニュートラルLNG」の定義を厳格化。オフセットだけではNG(2021年11月17日)
【参照ページ】「長期戦略と中期経営計画(INPEX Vision @2022)」の策定について
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