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【国際】アルセロール・ミタル、世界各地製鉄所で脱炭素化に向け6400億円投資。現地政府も支援

 製鉄世界大手ルクセンブルクのアルセロール・ミタルは2月、世界各地の製鉄所でカーボンニュートラル化に向けた大規模投資を発表。各地の現地政府も積極支援を表明した。

 同社は、二酸化炭素排出量削減目標として、2030年までに原単位で欧州で35%減、世界全体で25%減、2050年までにカーボンニュートラルを掲げている。今回の発表は、計画の中核を形成するものとなる。

 一連の発表では、まず2月4日、フランスのフォス・シュル・メールとダンケルクの2工場に、17億ユーロ(約2,200億円)を投資。2030年までにフランスでの事業所からの二酸化炭素排出量を約40%、年間780万t削減する。実現すれば、フランスの製造業全体の二酸化炭素排出量を10%削減できる。発表には、フランスのジャン・カステックス首相も出席し、大きな期待が寄せられた。

 具体的には、フォス・シュル・メール工場では、電炉プラントを建設。すでに2021年3月にLF(Ladle Furnace)型電炉精錬設備の建設を発表しており、それを補完するものとなる。フランスの復興計画「France Relance」の支援を受ける。一方、ダンケルク工場では、水素還元製鉄プラントを建設。生産能力は250万t。電炉も併設させる。これらの新工場は、2027年の操業開始を予定。同時に、2030年にはフォス・シュル・メールの高炉2基のうち1基、ダンケルクの高炉3基のうち2基を廃炉にする考え。フランスでの製鉄では、製鉄1kgに対し、スクラップ鉄の原料含有量が最大25%となる見込み。

 同プログラムでは、さらに第2段階として、炭素回収・利用・貯留(CCUS)設備の導入も計画している。これにより2050年までにカーボンニュートラルを達成する考え。

 子会社アルセロール・ミタル・ドファスコが運営するカナダのオンタリオ州ハミルトン工場では2月15日、水素還元製鉄と電炉の新設備導入で、18億カナダドル(約1,600億円)の投資を発表。2028年の完成を予定だが、早めることも検討する。計画どおり進めば、年間の同工場の二酸化炭素排出量の約60%に相当する300万t削減が期待できるという。

 ハミルトン工場では、水素還元製鉄で250万t、電炉で240万tの生産能力を確保する。既存の電炉や精錬設備の改修も同時に行い、省エネ性能も高める。

 同計画に関しては、2021年7月にカナダ連邦政府から4億カナダドルの支援が表明済み。今回新たにオンタリオ州政府から5億カナダドルの支援をとりつけた。今回の発表式典には、オンタリオ州のダグ・フォード首相も出席した。政府としては、現在の雇用2,500人を維持することも期待する。同社は、新ユニットに配属させる従業員には、新たに研修を実施。研修のべ時間は16万時間にものぼるという。

 同社は他にも、ベルギー及びスペインでも設備投資計画を発表。全4カ国の投資総額は56億米ドル(約6,400億円)。全体で二酸化炭素排出量を年間1,950万t削減できる。

 また同社は、スペインで計画が進められている世界最大級のグリーン水素生産合弁プロジェクト「HyDeal España」とも購入契約を締結している。太陽光発電を電源とし、2025年に生産開始予定。2030年には、太陽光発電設備容量が9.5GW、電解能力7.5GWとなる予定。同プロジェクトは、スペインの天然ガス輸入量の5%の生産量を目指している。

 生産された水素は、スペイン北部の工場から、アストゥリアス工業地帯に供給。アルセロール・ミタルの他には、エナガス、グルポ・フェルティベリア、DH2 Energy等が購入する。特にアルセロール・ミタルとグルポ・フェリティベリアの2社で、20年間で660万tの水素を購入し、製鉄やアンモニア生産等に使用する。

【参照ページ】ArcelorMittal accelerates its decarbonisation with a €1.7 billion investment programme in France, supported by the French Government
【参照ページ】ArcelorMittal decarbonisation project in Hamilton, Canada confirmed with the announcement of a CAD$500M investment by the Government of Ontario
【参照ページ】HyDeal España, the world's largest integrated renewable and competitive hydrogen hub

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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