米ジョー・バイデン大統領6月15日、顧客に事後課金する「ジャンク・フィー」対策の会合を開催。ジャンク・フィーの撲滅に賛同する米サービス大手9社の代表者も出席した。
「ジャンク・フィー」は、事前に通知していた金額とは別に、サービス提供時に不意打ち的に行う課金のこと。通信、ホスピタリティ、航空、インターネットサービス、金融等で幅広く行われており、バイデン大統領は2月の一般教書演説で「ジャンク・フィー」対策を進めると発表していた。
今回会合に招待されたのは、Airbnb、TickPick、Live Nation、SeatGeek、xBk、Pablo Center at the Confluence、DICE、Newport Festivals Foundationの9社。ジャンク・フィー廃止を実施済みか、今後数ヶ月以内に廃止することを表明していた。
「ジャンク・フィー」に関しては、各業界で異なる通称で呼ばれている。例えば、ホスピタリティ業界では、ホテル側が独自に課金する「リゾート・フィー」がある。リゾート・フィーは、室内セイフティボックス使用料、室内高速インターネット使用料、客室に配られる新聞代等があり、利用の有無にかかわらず請求される点が大きな特徴。一泊当たり10米ドルから20米ドルが一般的。
航空業界では、「家族席フィー」という慣行があり、若年の児童の横の席を家族の大人が確保する際に、追加手数料が請求される。米誌フォーブスの調査によると、米大手のうちデルタ航空、ユナイテッド航空、サウスウエスト航空、ハワイアン航空、ジェットブルー、スプリット航空、アレジアント航空の7社が導入している。一方、アメリカン航空、アラスカ航空、フロンティア航空は、バイデン大統領の一般教書演説から数週間以内に、廃止に変更。ユナイテッド航空も廃止に向けて準備しているという。
興業チケット販売でも、提示価格以外に事後課金するケースがあり、「オール・イン・プライス」での表示が推奨されている。
米連邦政府機関は、一般教書演説の後、各業界への対策に乗り出しており、運輸省(DOT)はすでに、航空会社に対し、手荷物料金からWi-Fi、座席変更料金まで、すべての料金を、最初に料金提示する際に前もって提供することを義務化する規則案を発表。さらに、航空会社がフライトのキャンセルや遅延で足止め受けた乗客に関わる費用を負担し、補償することを義務付ける規則を今年後半に提案することも発表している。
米連邦通信委員会(FCC)は、ブロードバンド・プロバイダーに対し、インターネット通信料金の提示の際に、料金、通信速度、データ通信容量、追加料金等を一覧表示する「栄養ラベル」方式を義務付ける規則を2024年から施行する考え。同様に、ケーブルテレビ会社に対しても、ケーブルテレビと衛星放送の料金体系を全て表示することを義務付ける新規則を発表している。
消費者金融保護局(CFPB)は、銀行に対し、バウンスチェックやオーバードラフト手数料に関するガイダンスを発表。その後、大手銀行20行のうち15行が、不渡り小切手手数料を完全に廃止することを発表している。また、CFPBは、クレジットカードの遅延損害金を30米ドルから8米ドルに減らす規則案も発表済み。
連邦取引委員会(FTC)は、各産業のジャンクフィーに関する規則案の事前通知を発表したほか、サービスの退会を購読時と同程度簡単に行うことを義務化する「Click to Cancel」規則案を発表している。