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米カリフォルニア州立大学サンタバーバラ校のスコット・ヤセヒコ准教授らは1月24日、2000年以降、地下水位が急速に低下しており、特に耕作地が広がっている乾燥地域で顕著であることを示した論文を発表した。地下水の枯渇に対処するための効果的な対策が緊急に必要と提唱した。
今回の論文は、1,693の帯水層系に設置されたモニタリング井戸約17万本から、過去40年間の地下水位に関するデータセットを作成。さらに、542の帯水層系では、1980年から2000年の期間と、2000年以降のトレンドを比較した。論文は学術誌「Nature」に掲載された。
分析の結果、2000年以降、地下水位が年間0.5mから1m以上という非常に早いペースで下がっており、特に耕作地が広がっている乾燥地域で顕著だった。継続モニタリングが実施されている井戸は、約40カ国に集中しているが、それでも世界の地下水取水量の約75%をカバーしている。反対に、データが取得できていない地域は、中国中部、東南アジアの大部分、中南米、アフリカのほぼ全域で、これらの地域では人口が急増しており、同様に地下推移が低下している可能性がある。
さらに、世界の帯水層の30%で過去40年間に地下水位の低下が加速していることもわかった。地下水位の低下が加速している主な原因は、涵養量の減少と降雨パターンの変化による取水量の増加だという。気候変動が加速すれば、地下水の重要性はさらに増していく可能性が高い。
一方、今回の調査では、帯水層系の20%で地下水位の低下が鈍化し、16%で反転上昇し、13%で水位が継続的に上昇していることもわかった。状況が好転している地域では、政策の変更、帯水層の涵養管理、地表水の分水によって枯渇傾向が反転の3つの具体的な事例も紹介。地下水低下が懸念される帯水層系でも、人のアクション次第で改善できると伝えた。
【参照ページ】Rapid groundwater decline and some cases of recovery in aquifers globally
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