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【EU】欧州委、アップルにEU競争法違反の疑い認定。iOSでの他社決済解放を約束

 欧州委員会は7月11日、アップルに対し、EU競争法の疑いがあるとの予備的見解を発表した。それに対し、アップルは、懸念に対処するためのアクションを欧州委員会に通知し、欧州委員会が認めた。

 今回の事案は、同社が展開している「Apple Pay」に関し、同社のOS「iOS」のみで動作するように制限し、さらに競合企業にアクセスを認めないようにしてきたことに対するもの。

 欧州委員会は今回、同社はスマート携帯端末市場において大きな市場支配力を有しており、その上で、iOS上のNFCハードウェア及びソフトウェアを競合するモバイルウォレット開発者に提供することを拒否し、Apple Payのみにアクセスを許可してきたと判定。これにより、支配的地位の乱用の疑いあるとの見解を示した。

 これに対し、アップルは、5つの対策を欧州委員会にコミットした。

  • サードパーティのウォレットプロバイダーが、Apple PayやApple Walletを利用しなくても、iOS端末のNFCハードウェア及びソフトウェアに無料でアクセスできるようにする。さらに、Host Card Emulation(HCE)モードでのNFCへもアクセスできるようにする。HCEは、デバイス内のセキュアエレメントに依存することなく、NFCを使用して決済情報を安全に保存し、取引を完了できるようにするもの。
  • NFCへのアクセスを許可する際に、サードパーティのモバイル・ウォレット・アプリ開発者に対し、公正、 客観的、透明かつ非差別的なプロセスと資格要件を適用する。
  • ユーザーが店舗支払用のデフォルトアプリとして HCE決済アプリを簡単に設定でき、Field Detect(ロックされたiPhoneがNFCリーダーに提示されたときにユーザのデフォルトの決済アプリを開く操作)や、ダブルクリック(携帯電話のサイドボタンまたはホームボタンをダブルクリックしたときにデフォルトの決済アプリを起動する)、及びTouch ID、Face ID、デバイス・パスコード等の認証ツール等の関連機能を使用できるようにする。
  • アップルによるアクセス制限の決定について、独立したレビューを可能にするモニタリング・メカニズムと独立した紛争解決制度を確立する。
  • 欧州経済地域(EEA)内で設立されたすべてのサードパーティモバイルアプリ開発者、及びEEA域内で登録されたApple IDを持つすべてのiOSユーザーに対し、EEA域外を一時的に滞在している間も上記のコミットメントを適用する。

 また欧州委員会は、上記コミットメントに関する市場テストを1月19日から2月19日にかけて実施し、競争法上の懸念が取り除かれるかどうかを確認するため、関係するすべての第三者と協議。同市場テストの結果を踏まえ、アップル社は当初の提案を修正し、コミットメント内容を通過している。

  • 加盟店の携帯電話や端末として使用されるデバイス(SoftPOS)等、業界で認定された他の端末でHCE決済アプリを使用して支払いを開始できるようにする措置を拡大する。
  • HCE開発者が、HCE決済機能を他のNFC機能やユースケースと組み合わせることを妨げるものではないことを明示的に認める。
  • NFCハードウェア及びソフトウェアにアクセスするために、開発者がペイメントサービスプロバイダ(PSP)としてのライセンスまたはPSPとの拘束力のある契約を有するという要件を削除する。
  • 開発者がサードパーティのモバイルウォレットプロバイダ向けに決済アプリを事前構築するためのNFCアクセスを許可する。
  • Apple Payで使用される業界基準の改訂に合わせて、HCEアーキテクチャーを更新し、一定の条件の下で、特定のHCEアーキテクチャーがApple Payで実装されなくなったとしても業界基準を更新し続ける。
  • 開発者がデフォルトの決済アプリを簡単に設定できるようにし、ユーザーをデフォルトのNFC設定ページにリダイレクトし、数回クリックするだけでデフォルト設定ができるようにする。
  • HCE決済アプリの開発者と同じ業界基準仕様に準拠し、監査で得られた機密情報を保護する。
  • 紛争解決期限を短縮する。さらにアップルは、モニタリング受託者の独立性と手続き上の保証を確保する。

 今回アップルが欧州委員会に通知したコミットメントに関しては、欧州委員会が有効な対策として認定したことで、法的拘束力が発生する。法的拘束力の期間は10年で、EEA全域に適用。アップルが任命したモニタリング評議会によってモニタリングされ、評議会員は内容を欧州委員会に報告する義務を追う。

【参照ページ】Commission accepts commitments by Apple opening access to 'tap and go' technology on iPhones

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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