
英国財務報告評議会(FRC)は7月22日、現行の英国スチュワードシップ・コード「英国スチュワードシップ・コード2020」に関し、報告義務を緩和する即時暫定修正を実施した。さらに現在進めている本編改訂に関しても重点5分野を特定したと公表した。
【参考】【イギリス】FRC、英国スチュワードシップ・コード2020発表。気候変動考慮を明記。年次報告も(2019年10月29日)
英国スチュワードシップ・コードの署名機関は、毎年、FRCへの報告が義務付けられている。今回の暫定即時改訂では、報告負担を軽減するために、5つの修正が決定された。
- 既存の署名機関については、重要な変更があった場合を除き、すべての「Context」報告で期待事項を毎年開示する要件を削除
- 既存の署名機関については、重要な変更があった場合を除き、原則1、2、5、6について、「Activity」と「Outocme」報告に関する期待事項を毎年開示する要件を削除
- 既存の署名機関については、重要な変更があった場合を除き、直近の報告書の内容の相互参照(クロスレファレンス)を許容
- 「Outcome」の定義に関し、エンゲージメントを通じて投資先企業に与えた変化や、自身の投資意思決定に与えた変化ということを明確化
- 原則10「集団的エンゲージメント」と原則11の「エスカレーション」に関し、必ずしも毎年実施する必要はなく、「必要な場合に」行えばよいことを明確化
当該修正は、次回のFRC報告申請が始まる10月31日から適用。FRCは署名機関に対し、当該修正が与える影響を個別に通知する予定。
また、FRCが今回同時に発表した本編改訂の重点5分野は、
- パーパス:現行版での「スチュワードシップ」の定義が、受益者の長期的価値創出を超える内容に解釈できるとの指摘があり、適格な定義に修正する。
- 原則:機関投資家向けの原則に関し、幅広いアセットクラスに対応できるようする。
- プロキシーアドバイザー:サービスプロバイダー向けの原則に関し、議決権行使助言会社の活動の透明性を向上する。
- プロセス:FRCへの定期報告義務の要件を緩和し、項目に応じて柔軟に報告タイミングを調整する。
- 位置づけ:DWP、TPR、FCA等の他の規制当局が定めるルールを考慮し、署名機関の報告の重複を防ぐ。
今回特定された重点5分野は、FRCが2024年初頭に実施したステークホルダーからのパブリックコメント募集を基にしたもの。今後8月から9月にステークホルダーとの集中的な討議を行い、2024年後半に正式なパブリックコメントでの意見収集を行う予定。
英国スチュワードシップ・コードは、現在署名機関が289社。運用資産の総額は50兆3,000億ポンド(約1京円)。内訳は、アセットマネージャー198社、アセットオーナー72社、サービスプロバイダー19社。
【参照ページ】FRC announces significant update to the UK Stewardship Code
【参照ページ】UK Stewardship Code 2020 Review
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく
ログインする
※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら