
国連食糧農業機関(FAO)は7月25日、アジアにおける鳥インフルエンザ感染者数増加を受け、緊急行動を要請した。封じ込めのための監視強化を訴えた。
【参考】【国際】国連、鳥インフルエンザのヒト感染リスク懸念を発表。哺乳類感染が増加傾向(2023年7月14日)
広東省の飼育ガチョウから発生するH5N1型の鳥インフルエンザウイルスは、1996年に初めて出現。2020年以降、H5クレード2.3.4.4bに属するウイルスの亜種が、アフリカ、アジア、欧州の多くの国々で、野鳥や家禽のかつてない数の死亡をもたらした。2021年には北米に、2022年には中南米にウイルスが広がっている。
今回の行動要請は、FAOと米国際開発庁(USAID)、米国疾病予防管理センター(CDC)がバンコクで共同開催した専門家協議の中で発表されたもの。WHOの2024年6月の報告では、H5N1型の鳥インフルエンザウイルスの2024年のヒト感染者数は、カンボジアで5件、米国で3件、オーストラリアで1件、中国で1件、ベトナムで1件だった。同種の鳥インフルエンザウイルスは、長年ヒト感染が非常に少ない水準にとどまっていたが、新変異株によりヒト感染が広がっている。
今回の発表では、H5N1型の鳥インフルエンザウイルスは地理的に広範囲に拡大を続けており、南極まで到達。ヒト以外の哺乳類であるイルカや、牛、ヤギ等の家畜にも感染が拡大している。インド、ネパール、バングラディッシュでもH5N1型の鳥インフルエンザウイルスが発生。タイ、ミャンマー、ラオス、カンボジア、ベトナムの5カ国と中国の雲南省、広西チワン族自治区を含む大メコン地域、インドネシア、フィリピンでは、生態系保護とバイオセキュリティ対策が実施されているが、リスクに晒されているとした。
FAOは加盟国に対して、新型ウイルスの拡散と進化を追跡するため、全ゲノム配列の決定を含む包括的な監視システムの導入が必要と表明した。ウイルスデータの解析には、迅速診断とバイオインフォマティクスの能力構築が不可欠。分野横断的なデータ共有の強化は、疾病管理への全体的なアプローチにとって重要となる。また、病気の家畜や死亡した家畜からのヒトへの感染リスクを低下させ、感染が疑われるヒトが速やかに治療を受けることができるよう、政府、国際機関、企業が協力し、医療従事者や市民の意識を向上させることを訴えた。
【参照ページ】FAO urges immediate action as new variants of avian influenza threaten Asia and the Pacific
【参照ページ】Cumulative number of confirmed human cases for avian influenza A(H5N1) reported to WHO, 2003-2024, 7 June 2024
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