
英金融大手バークレイズは7月24日、成長段階にあるクライメートテック企業の資金ギャップを埋めるため、英国の公的資金支援をどのように最適化すべきかを分析したペーパーを発表。カーボンニュートラル達成に向け、同国をクライメート・テック企業にとって魅力的な場所にすることの重要性を示した。
国際エネルギー機関(IEA)の推計では、2050年までに必要となる温室効果ガス排出量削減の35%は、まだ市場に存在しない技術によって達成される見込み。一方、クライメートテック企業のうち、特にシリーズB以降の資金調達段階にある企業は、初期投資が高額で投資回収期間も長いため、ソフトウェアスタートアップに慣れた投資家にとっては魅力的に映らないことが多く、「ミッシングミドル」と呼ばれる資金調達問題に直面している。
バークレイズは英国政府に対し、4分野での提言を行った。まず公的資金における1,000万ポンド(約20億円)から2,500万ポンド(約50億円)の資金ギャップへの対応では、企業に直接的な公的支援実施。具体的には、 ブリティッシュ・ビジネス・バンク(BBB)または英国インフラ投資銀行(UKIB)が、クライメート・テック分野で同規模の資金を提供するファンドやプログラムを発足することを挙げた。
また公的金融機関の影響力向上のため、融資メカニズムを拡大し、既存のツールや権限を最大限に活用することも提唱。UKIBとBBBには、民間資本の動員やリスク移転の支援と、クライメート・テック企業の独自要件を理解できる人材と専門的知見の確保を求めた。BBBには、クライメート・テック企業の支援を目的とした保証制度の創設を検討することも要請した。
組織のつながりと協力関係の改善では、ブリティッシュ・ビジネス・バンク(BBB)、英国インフラ投資銀行(UKIB)、英国輸出信用保証局(UK Export Finance)、Innovate UK等の現在の体制は、支援における連携や調整の機会を逸していると指摘。7月に設立された英National Wealth Fund(NWF)が協力関係を促進し、大きな資金を引き出す機会を担うと語った。
さらに英国の公的金融機関の既存インフラと、その運営の有効性に関する検討も要請。英国の公的金融機関の既存インフラを統合することのメリットと現実性等、支援のエコシステムを見直することを求めた。
【参照ページ】Making the UK a destination of choice for climate tech companies critical for net zero
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