
世界保健機関(WHO)は9月4日、新規病原体及び再興病原体の起源をWHO加盟国が包括的に調査するための世界的枠組みを策定した。感染症の大規模感染を調査するための手法は数多くあるが、新規病原体の起源を調査するための統一的で構造化された枠組の策定は今回が初。
同枠組みは、2021年11月に設立された「新規病原体起源科学諮問グループ(SAGO)」が中心となって開発した。SAGOは、世界中の独立した専門家で構成。ヒトと動物の双方を対象とした新興病原第及び再興病原体の起源を理解するための最良の技術的・科学的アプローチを特定し、世界枠組みを開発することを任務としている。
感染症の大規模感染では、既存の病原体(エボラ出血熱、ニパウイルス、鳥インフルエンザ、ラッサウイルス、サル痘ウイルス等)や、新規病原体(新型インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス等)を予防し、予防できない場合には、発生を迅速に食い止め、その起源を特定する能力を高めることが、科学的、道徳的、財政的にこれまで以上に重要になると考えられている。
今回開発された世界枠組みは、WHO加盟国の科学者、研究者、公衆衛生当局、研究者のためのガイドとして設計。6つのテクニカル要素に関する科学的調査と研究の概要を特定した。
- 初期調査:潜在的な曝露源を特定し、発生源のサンプルを収集し、診断アッセイを確立するため新種の病原体の特徴を把握する。
- ヒトを対象とした研究:臨床症状、感染経路、病理学、シンドローム・サーベイランス・サンプルの初期状態等の疫学を理解する。
- ヒトと動物との接触における研究:潜在的な動物保有宿主、中間宿主、逆人獣共通感染症を特定する。
- 昆虫媒介等の感染源、及び環境中における初期状態を特定するための研究
- 前駆体、ゲノムの特徴、中間宿主やヒトにおける進化、経時的な空間分布を特定するためのゲノム及び系統学的研究
- バイオセーフティとバイオセキュリティ調査:実験室や研究活動における違反行為が、最初の症例に関連しているかどうかを特定する。
同枠組みは、利用者からのフィードバックを通じ、必要に応じて随時改訂されていく予定。
【参照ページ】WHO launches global framework for understanding the origins of new or re-emerging pathogens
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