
国際投資家イニシアチブ「2030年鉱業に関するグローバル投資家委員会」は10月8日、パリ協定を達成するための資源採掘セクターの在り方を示した報告書を発表した。機関投資家としての優先アクション分野を特定した。
【参考】【国際】鉱業2030委員会、投資家82団体が賛同表明。10観点で鉱業セクターの規範策定へ(2023年12月26日)
同委員会は、ヴァーレが所有していた「ブルマジーニョ尾鉱ダム」が2019年1月に決壊した惨劇を契機に立ち上がった組織。英国国教会年金理事会が委員長となり、国連環境計画(UNEP)、カンタベリー大司教、ケープタウン大司教が後援する形で2023年1月に正式発足。「Mining2030(鉱業2030)」の略称も持つ。他にも、国連責任投資原則(PRI)や鉱業世界大手CEOも支持を表明している。
現在Mining2030に加盟しているのは、カリフォリニア州教職員退職年金基金(CalSTRS)、AP7、APG、PGGM、英国国教会年金理事会、USS、ストアブランド、スコティッシュ・ウィドウ、リーガル&ゼネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)、アバディーン、ピムコ、ピクテ、Robeco、アリアンツ・インベストメント・マネジメント、AVIVA Investors等、55機関。運用資産総額は15兆米ドル(約2,200兆円)。
同報告書は、パリ協定目標を達成するためには、石炭資源の採掘を減少させ、替わりにクリーンエネルギーに必要な金属や鉱物等の採掘増が不可欠と指摘。実現に向けては、投資家が、資本配分、公平な利益分配の支援、ベストプラクティスに基づく基準設定とコンプライアンスの推進、紛争への対応、真の変化をもたらす可能性のあるセクター間の連携と協働に重点的に進める必要があるとした。
特に機関投資家にとっての重点分野としては6つを掲げた。
- 投資家が企業に期待する内容を、グローバル及び鉱業業界の基準に一致させる。
- 需要側企業が、これらの期待に沿うようにし、循環性とトレーサビリティの実現に向けて動く。
- 投資家の期待を強化する規制を奨励する。
- 地域及び国家レベルで、公正かつ公平で持続可能な便益を創出する。
- 鉱業関連の紛争及び要因を特定し、削減する。
- 過去の負の遺産に対処し、現在の事業にとってのポジティブな遺産を創出する。
【参照ページ】$15 TRILLION-BACKED MULTI-STAKEHOLDER COMMISSION SET TO RESHAPE INVESTORS’ ROLE IN THE MINING SECTOR AS MINERAL DEMAND ACCELERATES
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