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【国際】FAO、各国政府に農業・食料での気候政策強化要請。NDCでの対策が不足

 国連食糧農業機関(FAO)は11月18日、国連気候変動枠組条約第29回バクー締約国会議(COP29)の場で、パリ協定の国別削減目標(NDC)の中に、農業・食料システムでの気候変動緩和・適応に関する内容を盛り込むよう提唱する報告書を発表した。

 同報告書では、世界167カ国のNDCを分析。NDCにおける最大のリスクとして、調査対象の88%が食糧不安と生物多様性の喪失と回答していた。次いで、約3分の2が農作物システムに関するリスクを、約半数が家畜、森林、海洋及び沿岸漁業・養殖システムにおけるリスクを挙げていた。

 特に、サブサハラ・アフリカでは、気候変動によって飢餓と貧困が深刻化。後発開発途上国(LDCs)、低所得国(LICs)は、農業・食料システムと食料安全保障、生活、貧困、不平等に関する気候変動リスクについて世界平均よりも高い割合で指摘している状況にある。

 今回の報告書では、農業・食料システムで気候変動緩和の目標設定が不十分と伝えている。現在のNDCでは、農業・食料システムからの温室効果ガス(GHG)排出量の40%程度しか対象としておらず、目標を倍増させる余地があるとした。特に、家畜からの排出量は全体の66%がNDCに組み込まれていない。

 気候変動適応計画に関しても、実現可能性や堅牢性で確実性が欠如しており、有効性に疑問が残るとした。世界と協調し効果的な計画と投資がなければ、増加する気候変動リスクに適応施策が追いつかないと警鐘を鳴らした。

 また、食料システム内の格差の課題にも言及。貧困と不平等への取り組みは、気候変動適応と公正な移行(ジャストトランジション)に不可欠であると認識されつつあるが、食料システムにおけるステークホルダーの脆弱性、リスク等を特定しているNDCは少数とした。

 同報告書は、さらに、気候変動対策資金が不足している課題も挙げた。世界の農業システムへの気候関連の災害による影響は、2007年から2022年の間に災害関連の損失全体の23%を占めており、このうち65%以上は旱魃によるもの。NDCでは農業・食料システムへの資金提供の必要性を認識しているものの、必要な資金の6分の1しかカバーできていない。また、気候変動影響に耐えうる農業システムへの転換には、2030年までに年間1.15兆米ドル(約178兆円)が必要だが、現在は年間285億米ドル(約4兆円)しかない。

 FAOは、今後の提言として、農業・食料システムは、食料安全保障、生活、経済にとって必要だが、気候変動に対しては脆弱な状態にあると強調。現在のグローバル・ストックテイクによると、NDCは必要なGHG排出削減量に対して大幅に不足していると伝え、各国は、データ主導型の計画と十分な資金提供を実現し、温室効果ガス排出量、公平性、資金調達におけるギャップに取り組む必要があるとした。

【参照ページ】COP29: New FAO analysis maps Nationally Determined Contributions, identifies opportunities, gaps and risks related to agrifood climate solutions

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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