オーストラリア連邦上院は11月28日、SNSの使用を世界で初めて禁止する改正オンライン安全法を賛成34、反対19で可決。16歳未満の子供に対しSNSサービスを提供することを禁止した。同法案はすでに11月27日に連邦下院を賛成102。反対13で通過しており、オーストラリア総督の裁可を経て、同法は成立する。違反には5,000万オーストラリアドル(約50億円)以下の罰金が科される。
連邦議会は今回の法案の目的について、「ソーシャルメディアによる危害の脅威は、国内外を問わず最近の重要な焦点となっている」と説明。既存のオンライン安全法で対処できなくなってきているとした。オーストラリアではすでに、SNS事業者に対し、子供オンラインプライバシー保護規則により、13歳未満がSNSアカウントを開設することを禁止していたが、今回16歳未満に禁止対象を拡大したうえで、法律として強制発動することとなった。
同法では、2人以上のエンドユーザー間のオンラインでの社会的交流を可能にするサービスや、エンドユーザーが、他のエンドユーザーの一部または全部にリンクしたり、他のエンドユーザーと交流したりできるサービスをSNSと定義。対象となるサービスは、担当大臣が指定できる。政府は、TikTok、Facebook、Snapchat、Reddit、Instagram、Xは対象とする考え。
一方、子供に有益となる程度が大きいとみなされるFacebook Messenger KidsやWhatsApp等のサービスは禁止対象から除外される見込み。ReachOut、PeerChat、Kids Helpline ‘MyCircle’、Google Classroom、YouTube等、双方向性においてソーシャルメディアと同様の機能を持つが、青少年が必要な教育や健康支援を受けられるようにすることを重要な目的として運営されていることを示すことができるSNSについても禁止対象から除外する考え。
禁止の具体的な内容は、SNS事業者は「年齢制限のあるユーザーが年齢制限のあるソーシャルメディアプラットフォームにアカウントを持つことを防ぐために合理的な措置を講じなければならない」としている。この合理的措置を講じていないと判断されると、罰金が科される。具体的には、アクセスではなく、アカウント開設を禁止の対象としている。
同法遵守のためには、SNS事業者は、アカウント開設時に法的な年齢確認をしなければならなくなる。同法では、強固なプライバシー保護を導入し、年齢保証の目的で収集された情報を、本人の明確な同意がない限り、プラットフォームが他の目的に使用することを厳しく禁止している。同法は、成立から12ヶ月以内に施行される。また施行から2年後に法律影響レビューをすることも必須としており、若者への影響を確認する。
オーストラリアでは、2023年11月に野党自由党デビッド・コールマン連邦下院議員が、若者のSNS利用を制限するため、年齢認証技術のトライアル実施を強制する法案を提出。同法案は廃案となったが、2024年6月に労働党政権は、16歳未満のSNSアクセス禁止への支持を表明。野党自由党側も、政権就任の100日以内にアクセスを禁止する公約を発表。各州首相も同様の公約を掲げ、いっきに支持が集まっていった。同法案は、政府が11月8日に16歳未満のSNSアクセスを禁止する立法を目指すと宣言してから、1ヶ月もしないうちに両院で可決された。最終的に禁止対象はアクセス禁止ではなく、アカウント開設禁止となった。オーストラリア国民も11月の世論調査で、77%が禁止を支持しており、8月の61%から上昇していた。
【参照ページ】Social media reforms to protect our kids online pass Parliament
【参照ページ】Online Safety Amendment (Social Media Minimum Age) Bill 2024
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