
金融安定理事会(FSB)は5月6日、プライベートクレジットにおける金融安定上の脆弱性に関する報告書を公表した。各国の金融監督当局に対し、データの不足を解消し、定義を統一してモニタリングを強化するとともに、金融の相互関連性や流動性問題に関する分析を深め、監督上の知見を共有するよう促した。
FSBは今回、プライベートクレジットの2024年末時点の資産規模は1.5兆米ドルから2兆米ドルに達していると推定。特に、少数の管轄区域に著しく集中していることにも警戒した。プライベートクレジットは、企業へのオーダーメイド型資金調達や投資家への分散投資といったメリットがある一方、脆弱性があることを強調した。
銀行との関連性では、プライベートクレジットのエコシステムは、運用会社、銀行、保険会社、プライベートエクイティ・ファーム間の相互連携が深まっていることが特徴と分析。銀行が直接的にエクスポージャーを抱える与信枠以外にも、プライベートクレジット・ファンドから同時に借入を行っている企業に対し、銀行がリボルビング・クレジット・ファシリティを提供しているケースや、合成リスク移転の利用拡大があることを強調。間接的なエクスポージャーからも潜在的な脆弱性が生じ得るとした。
また、プライベートクレジットのエクスポージャーを把握する上でも、管轄区域毎の定義の違いや、ファンド・ローンレベルの情報の不足により、エクスポージャーや潜在的な伝播経路の評価が困難となっていることを問題視した。そこで同報告書は、市場規模と成長、銀行や保険会社との連携、レバレッジ、流動性の特徴、集中度、国境を越えた活動、借り手の信用力について、当局が追跡するための比較可能な主要指標セットも提案した。
信用リスクの評価についても、評価の不透明性とプライベートクレジット格付への依存が、ストレス下での緊張を助長する恐れがあると警告。プライベートクレジットの借り手は通常、公開格付を持っていないため、市場全体のモニタリングにおいて透明性の課題が生じているとした。同報告書は、借り手は通常、同等の公開市場で見られる借り手よりも信用力が低く、レバレッジが高い傾向にあると言及。現物払い(PIK)契約の利用が増加し、デフォルト率も(低い水準ではあるが)若干上昇していることから、借り手のストレスを示す兆候がいくつか見られるとした。
特にプライベートクレジット融資は、特にテクノロジー、ヘルスケア、サービスといった少数のセクターに集中しており、これが監視を複雑化させ、企業またはセクター固有のショックが市場全体のストレスへと波及するリスクを高めているとも伝えた。流動性についての懸念は、投資家に償還オプションを提供するファンドの人気の高まりに起因しており、これがプライベート・クレジットの景気循環性(プロサイクリック性)を強める可能性があるとした。
そこで、FSBは、各国の金融当局に対し、プライベートクレジットとプライベートエクイティ及び保険会社との相互関連性、ならびにプライベートクレジット・ファンドにおける流動性のミスマッチに関する分析を深めることを要請。エクスポージャーの集計、評価手法、民間格付の利用等、プライベートクレジット分野で活動する銀行および非銀行金融機関のリスク管理とガバナンスに関する監督アプローチを共有することも推奨した。
【参照ページ】FSB warns on private credit vulnerabilities
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