
OpenAIやグーグルの元従業員らは6月4日、先進的なAI企業に対し、内部通報や外部告発者の保護を求める共同声明を発表した。
今回の共同声明では、AIが人類に恩恵をもたらす可能性を信じているとしつつ、同時にリスクも孕んでいると指摘。リスクとしては、不平等の固定化、情報操作や誤情報、自律的なAIシステムが制御不能になることによる人類絶滅の可能性まで、多岐にわたるとした。
また、これらのリスクは、アカデミア、政府、市民からの適切なガイダンスがあれば十分に軽減できるものの、AI企業には金銭的利益のためにこれらの実効性のある監督を回避しようとしており、AI企業の自主的なコーポレートガバナンスだけではリスクを軽減できないと伝えた。さらに、AI企業は、自社のシステムの能力と限界、保護措置の妥当性、危害リスクレベルについて、政府や世の中に開示していない情報が数多くあることも問題視した。
同共同声明では、先進的なAI企業に対し、4つの原則を遵守するよう求めた。
- リスク関連の懸念に対する「中傷」や批判を禁止する契約を締結したり実行したりせず、既得の経済的利益を阻害することによってリスク関連の批判に対する報復を行わない
- 現従業員及び元従業員が、当該企業の取締役会、規制当局、および関連する専門知識を有する適切な独立機関にリスク関連の懸念を提起するため、検証可能な形で匿名通報のプロセスを促進する
- 企業機密やその他の知的財産権が適切に保護される限り、会社はオープンな批判の文化を支持し、現従業員及び元従業員が、自社の技術に関するリスク関連の懸念を、一般市民、当該企業の取締役会、規制当局、または関連する専門知識を持つ適切な独立組織に提起することを許容する
- 他のプロセスが失敗した後に、リスク関連の機密情報を公に共有した現従業員及び元従業員に対し、当該企業が報復を行わない。(私たちは、リスク関連懸念を通報するいかなる試みも、不必要に機密情報を公開することを避けるべきであることを受け入れる。したがって、当該会社の取締役会、規制当局、および関連する専門知識を有する適切な独立機関に対し、匿名で懸念を表明するための適切なプロセスが存在すれば、当初はそのようなプロセスを通じて懸念を表明することを容認する。しかし、そのようなプロセスが存在しない限り、現従業員および元従業員は、懸念を一般に報告する自由を保持すべきである)。
今回の声明は、現従業員や元従業員の内部通報や外部個後発を容認することを認める趣旨となっている。共同声明は、リスクを軽減するためには、政府の実効性のある監督が必要だが、関連情報を有している現従業員や元従業員は機密保持契約によって懸念を通報や告発ができないことに焦点を当てた。すでに通報や告発した従業員に対し報復措置を受けた人が過去にいることも吐露した。
【参照ページ】A Right to Warn about Advanced Artificial Intelligence
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