米国連邦政府は国内に数多くの施設や車両などを保有しており、世界最大のエネルギー消費主体の一つでもある。しかし、現在このエネルギー消費量が着実に減ってきている。
米国エネルギー省のFEMP(Federal Energy Management Program)は2月4日、連邦政府の2013年度(会計年度)の総エネルギー使用量は960兆Btu(英熱量)まで減少し、データ測定を開始した1975年以降で過去最低値を記録したと発表した。
(※U.S. Department of Energy, Federal Energy Management Programより引用)
米国エネルギー省によると、2013年度の車両や施設のエネルギー使用量は連邦政府による全エネルギー消費量のうち62%を占めており、さらにそれらの車両や施設のエネルギー使用量の94%を占めていた米国国防省と米国郵政公社の総エネルギー使用量が、2011年度から2013年度にかけて19%削減したという。同省は、2011年以降の削減のほとんどは、連邦政府最大のエネルギー消費源であった航空機燃料の削減の結果として実現できたものだとしている。
連邦政府の保有施設におけるエネルギー消費量は、過去40年間で減少し続けており、この削減は、連邦政府の保有する土地面積の減少と、建物内の1平方フィートあたりのエネルギー消費量の双方の削減によるものとのことだ。
一方で、連邦政府のエネルギー支出は94億USドルという調査開始以降過去最低を記録した2000年以降、13年の間ずっと増え続けており、2013年度には240億ドルに達した。これは、連邦政府の消費エネルギーの60%以上を石油燃料が占めており、原油価格の影響を大きく受けたためだ。エネルギー消費量そのものは減少し続けている。
(※U.S. Department of Energy, Federal Energy Management Programより引用)
連邦政府によるエネルギー消費量の削減が進んでいる背景には、2007年のエネルギー自立法により連邦政府に対して定められた下記のようなサステナビリティ目標がある。
- 自動車における石油燃料の消費削減。2016年度の開始時点までに最低でも2005年度比で20%削減
- 建物のエネルギー消費量を毎年3%ずつ削減するか、もしくは2015年度までに2003年度比で30%削減
- 連邦政府の全ての建物における化石燃料消費を2015年度に2003年度比で65%、2030年度に100%削減
また、続いて2009年にオバマ大統領より発表された大統領令では下記目標が設定された。
- 新しく契約を結ぶ製品やサービスの95%において、エネルギー効率、水使用効率、環境負荷に関するガイドライン基準を満たす
- 飲料水の消費量を年間2%ずつ、または2020年度までに2007年度比で合計26%削減
米国では連邦政府が積極的にサステナビリティ推進の旗振り役となることで、気候変動やその他の課題に対する国としての方向性をはっきりと示している。
【リリース原文】Energy consumption by U.S. government at lowest level since at least 1975
【参考サイト】米国エネルギー省 エネルギー部