米情報提供大手のトムソン・ロイターは5月20日、世界のエネルギー業界の温室効果ガス排出量に関する調査報告書、"Global 500 Greenhouse Gas Report: The Fossil Fuel Energy Sector"を公表し、世界の大手エネルギー会社32社の温室効果ガス排出量が、世界全体の排出量の31%を占めていることを明らかにした。
同報告書は、サステナビリティコンサルティング会社のBSDコンサルティング社と共同で作成したもので、昨年12月に公開された世界大手500社の温室効果ガス排出状況についてまとめた報告書"Global 500 Greenhouse Gases Performance 2010-2013: 2014 Report"の続編となる。前回の報告書の内容に加えて、今回の新しい報告書では消費者の製品使用段階におけるスコープ3の排出量データも含まれている。
報告書によると、2010年から2013年にかけて上記のエネルギー会社32社の温室効果ガス排出量は1.3%増えているという。これは、2014年のUNEP Emissions Gap Reportの中で提言された、地球の温度上昇を2℃以下に抑えるためには同期間に4.2%の温室効果ガス排出削減が必要という目標とは正反対の結果となっている。
同報告書の共著者で、トムソン・ロイターでサステナビリティ担当役員を務めるTim Nixon氏は「前回の報告書の発表以降、エネルギー価格は劇的に下がり、経済を取り巻く状況は改善し、消費者の動向にも変化はなかった。それにも関わらず、温室効果ガスの排出を抑えるためにはさらなる努力が必要だと言える。エネルギー会社が温室効果ガスの排出を減らす主導的な役割を果たす義務がある一方で、消費者や規制を行う側も温室効果ガスの排出削減のために重要な役割を担わなければならない」と語る。
また、同じく同報告書の共著者でBSDコンサルティングの事業部長を務めるJohn Moorhead氏は「我々が、必要とするエネルギーと、環境に与える悪影響やそれによって生み出される結果のバランスを保つためには、エネルギーの生産者と消費者が同じように化石燃料の使用を減らすことや、年間1.4%の温室効果ガス排出削減目標の達成が必要不可欠な課題だ」と語っている。
なお、同レポートのデータはCDPおよびCAI(Climate Accountability Institute)からのデータ提供に加え、エネルギー業界各社が自身で報告している排出量データが集められ、トムソン・ロイターのESGデータプロバイダー、トムソン・ロイター・アセット4の推定値と結合して作成されたものだ。
世界の大手エネルギー会社32社で全体の排出量の3分の1を占めているという事実は、エネルギー業界の化石燃料からの脱却、再生可能エネルギーの推進が世界の気候変動対策を前進させるうえでどれだけ重要となるかをはっきりと示している。
【レポートダウンロード】Global 500 Greenhouse Gas Report: The Fossil Fuel Energy Sector
【参照リリース】Thomson Reuters Releases Greenhouse Gas Emissions Data on Global Energy Providers
【団体サイト】Thomson Reuters
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