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【アメリカ】UPS、ガス車やバイオネルギー車を積極導入。気候変動対応を加速化

UPS

 米国貨物輸送大手UPSは8月2日、同社の14年目となるサステナビリティレポート「Corporate Sustainability Report 2015」を公表した。レポートはGRIのG4に基づき、マテリアリティを特定した上で、環境からコミュニティ支援、従業員エンパワーメントまで幅広い取組が報告されている。その中で耳目を集めているのが、貨物輸送会社としての二酸化炭素排出量削減。同社は、電気エネルギー、バイオエネルギー、ガスなどガソリンや軽油を用いない次世代輸送車の導入を進めており、2012年には2017年までに次世代輸送車での配送走行距離を通算100億マイルとする目標を掲げてきた。UPSは従業員の82%が米国で業務をしており米国が事業の本拠地だが、世界各国にも進出している。次世代輸送車は、米国の他、カナダ、フランス、韓国、ミャンマーに投入されている。UPSはこの「100億マイル」を、目標を1年前倒しし2016年中に達成した。すでに全体の輸送走行距離の12%が次世代輸送車による配送となっている。

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(出所)UPS, "Corporate Sustainability Report 2015"

 UPSは、次世代輸送車の導入において、経路の特徴ごとに活用する輸送車タイプを選定してきた。例えば、人口密度の高い英国ロンドンやドイツ・ハンブルクでは自転車や電動アシスト自転車を採用。一方、米国では電気自動車・ハイブリッド車を投入。ガス自動車はそれ以外の地域でも展開された。輸送車タイプ選定やルート選定のために世界各地で7,200台の実験走行車が活躍している。補給ステーションの普及にも力を入れており、次世代輸送車と補給ステーションへの世界全体の投資額は2009年から2016年末まで7億5,000万米ドルに達する。

 気候変動への取組はまだある。二酸化炭素排出量削減を最大化するルート選定を行うための同社独自のカーナビゲーション・システムを全米の輸送車の70%に投入を完了、今年末までに100%になる予定。このシステムにより年間で1億マイルの走行距離を削減できるという。鉄道車両、トラック、船舶、航空機などの異なった輸送機関を複数組み合わせて運ぶ輸送(インターモーダル輸送)にも積極的に取り組んでおり、カーボンオフセットのために植林活動も実施。航空機の軽量化や航空路線最適化による空の二酸化炭素排出削減も展開している。さらに、共同配送を手がけてきたCoyote Logistics社を買収したことで、UPS輸送車の帰路にCoyote Logistics社の顧客の積荷を輸送すること開始。これにより、輸送車1台当りの売上を向上させるとともに、積み荷なし状態輸送という無駄な二酸化炭素排出を避けることにもつながった。米国輸送と国際航空輸送全体では2007年比で温室効果ガス排出量(スコープ1とスコープ2合計)の14.5%削減に成功、2020年までに20%削減するのが目標。

 米国ではEコマースの伸長により小口輸送が急増中。UPSはこの動きを新たなビジネスチャンスととられるとともに、二酸化炭素排出削減という大きなミッションも同時に課している。UPSは積み荷単位の二酸化炭素排出量や、ガソリン1ガロン当りの積み荷量などをKPIとして設定。今後もさらにこれらを削減していく考えだ。温室効果ガス排出量算出のスコープ3では、荷主企業も貨物輸送委託からの二酸化炭素排出量を負担することとなっている。荷主企業もスコープ3での排出量削減において、貨物輸送企業との協働が欠かせなくなるだろう。

【参照ページ】UPS Drives 1 Billion Cleaner Miles Meeting Goal Early
【報告書】Corporate Sustainability Report 2015

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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