金融安定理事会(FSB)は1月20日、同機関の年間の重点課題や新たな対応課題をまとめた2021年の行動計画を発表した。FSBのような国際機関も、予算や人材資源を効率的に活用するため、組織課題に優先順位を付けて対応している。FSBの成果物は、毎年のG20サミットでも報告される。
今年の行動計画は、重要テーマおよび新規課題対応が4つと、前年度からの継続が2つ。
新規テーマ
新型コロナウイルス関連の国際協力と国際協調
昨年から実施しているパンデミックで脅かされている金融安定化のため、脆弱性評価の継続、各国当局への情報提供の継続、必要と判断させる措置の柔軟な措置を実施。さらに今年からは、新プロジェクトとして、会計基準策定機関と連携し、会計基準の柔軟的な運用による効果をG20に対し報告する。
非銀行金融仲介機関(NBFI)のレジリエンス強化
マネー・マーケット・ファンド(MMF)、オープンエンド型ファンド、債券、米ドル建てクロスボーダーファンド等の分野で包括的なレビューを行い、特定された問題に焦点を当てる。また債券市場の流動性に関するG20金融改革の効果も検証する。成果物は、国際通貨基金(MMF)にインプットされる。
クリアリングハウスのリスク対応
金融安定化のために世界的に進展が進むクリアリングハウスでの集中決済が抱えるシステミックリスクを特定し、特に流動性とレジリエンスの問題について検討する。この問題では、国際決済銀行(BIS)の決済・市場インフラ委員会(CPMI)、証券監督者国際機構(IOSCO)、FSB破綻処理ステアリンググループの議長は、CCPの財源について共同検討を進める。
クロスボーダー決済
FSBは、2020年10月にクロスボーダー決済の支払とプロセスに関する課題に対応するためのロードマップを公表済み。今年は、ロードマップでの定量目標への落とし込み、データ枠組みの設計、グローバルデジタル一意識別子の開発等を進める。またステーブルコイン(仮想通貨、暗号資産)に関する規制や監督の方向性についても議論を続ける。
気候変動・サステナブルファイナンス
従来は気候変動リスクが与える財務インパクトや金融システムへの影響に焦点を当てたが、今年は分析に必要なデータ整備を主な課題とする。具体的には、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言にも基づき、比較可能で、高品質で、監査可能な情報開示基準を会計基準策定機関等と開発する作業に着手。G20財務相・中央銀行総裁会議では、気候変動やサステナブルファイナンスに関する知見をインプットする。また規制の在り方にも原則や勧告をまとめる。
継続テーマ
ベンチマーク転換
金融システムのサイバーセキュリティ確保について、各国や各業界の知見を収集する。
デジタルイノベーションとサイバーセキュリティ
フィンテック、RegTech、SupTech、BigTech等の進展に対応するためのサイバー攻撃や規制の在り方を検討。特に、サイバーセキュリティに関しては金融機関から当局への報告フレームワークの共通化の可能性についても検討する。
【参照ページ】FSB sets out 2021 work programme
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