金融庁は1月21日、新生銀行100%子会社の新生インベストメント・マネジメントに対し、行政処分勧告措置を発表した。善管注意義務に関する受託者責任義務が果たされていないと指摘した。
今回の発表では、まず、投資一任契約での運用に組み入れる投資対象資産の買付価格について、2014年の金融庁検査の際に十分な調査を行っていないと判定され、業務改善命令が発出されていが、今回の検査でも不備が指摘された。
具体的な指摘事項では、多数の中小企業等に融資を行い、その元利金の返済を運用成果とする特性を有する海外運用会社のファンド・オブ・ファンズ(FOFs)での運用で、当該海外運用会社の組織体制やファンドの概要等の形式的な確認にとどまり、当該ファンドの具体的な融資先すら把握しておらず、融資の回収可能性の検証もしていない。
世界のグロース株に投資し、投資可能通貨などにより複数のシェアクラスが存在する特性を有する海外運用会社のファンドにつき、いずれのシェアクラスにおいても為替ヘッジが行われていないにもかかわらず、当社の調査では、為替ヘッジ付きのシェアクラスが存在すると誤認しており、その結果、為替ヘッジ付きでの運用を希望する顧客と投資一任契約を締結。
プライム・ブローカーに顧客資産を担保や証拠金として差し入れてレバレッジをかけ、世界の様々な金融商品の先物、商品先物、ABSのマージン取引などに投資するという特性を有する海外運用会社のファンド2つで、プライム・ブローカーについての調査を実施しておらず、プライム・ブローカーにおける顧客資産の分別管理の状況を確認していない。
非上場株式への投資ファンド2つでは、当該ファンドの運用会社が行っていた時価評価に対する監査報告書による保証表明が得られていないにもかかわらず、当該運用会社の時価評価体制の調査を自身でしないまま、投資一任契約を締結。その後も適正な時価で評価されているかについての調査を行うことなく運用。
投資判断の状況についても、あるファンドは、投資一任契約締結後に、当該ファンドの運用会社から当該ファンドの解約受付の一時停止、解約額の上限の引下げ設定等、顧客資産に重大な影響を与える可能性のある通知が断続的に行われる等、投資一任契約に基づく当社の投資判断が求められる事象が立て続けに発生していたにもかかわらず、自らは投資判断を行ず、運用財産の運用・管理を適切に行っていなかった。
他にも公募投資信託の運用について、善管注意義務と忠実義務違反が確認された。
今回の発表は、証券取引等監視委員会が、内閣総理大臣と金融庁長官に対し行政処分を勧告したもの。近々、行政処分が発出される模様。
【参照ページ】新生インベストメント・マネジメント株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
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