アメリカの世界最大手航空機メーカー、ボーイング社は6月5日、2013年度の年次環境報告書を発表した。今回の報告書では同社の製品・オペレーションにおける環境性能向上へのコミットメントおよびその進捗達成状況がまとめられている。また、今回は同社の従業員が生活し、働いている世界中のコミュニティにおける環境保全活動についての取り組みにもスポットが当てられている。
ボーイング社の会長兼CEOを務めるJim McNerney氏によれば、「ボーイング社の社員は世界中の顧客を満足させるためのイノベーションを毎日模索している。また、従業員には一連のバリューチェーンおける環境負荷の軽減においてもリーダーシップを発揮する責任がある。」とのことだ。
同社は2007年からこの環境に関する報告書を作成し始めたが、今回の報告書では、経済面と環境面のバランスをとりつつ設定された新しい環境目標が提示されている。
2017年に向けて新たに設定された目標には、削減対象として温室効果ガス排出量、水消費量、廃棄物排出量などが定められている。2014年の報告書のポイントは以下の通り。
- よりクリーンな製造物として、燃料効率が良い新たな2つの航空機(777X型と787-10型)や世界初のオール電化の人工衛星の開発
- より環境に優しい次世代のフライト・コンセプトとして、米空軍から実験的に取り入れられている、液体水素を燃料として動く「ファントム・アイ」の導入
- 航空機の塗装にソーラー・チューブを使用するなど、温室効果ガス排出量をゼロにするためのイノベーション
- 「グリーン・ディーゼル」を含む、持続可能な航空のためのバイオ燃料商業化への取り組み
- 同社のオペレーションにおける新たな環境フットプリント目標に向けたパフォーマンス
- 同社従業員がどのように環境パフォーマンスを向上させたかについてのストーリー
航空機メーカーが果たすべき社会的責任は非常に幅広い。万が一にもあってはならない航空機事故を未然に防ぐための徹底した安全対策やそれを実現する製造・管理体制、温室効果ガス排出量の削減、燃料効率の向上、空港周辺に住む地域住民の騒音対策、災害・リスク対策に至るまで様々だ。
また、航空機メーカーは軍事産業との関わりも強いうえ、宇宙航空開発のためのイノベーション、研究開発も領域に含まれており、最先端技術を何のために使うのか、どのように使うのか、といった事業モラルも強く問われる。
グローバル化の進行によりヒト・モノの国境を越えた移動が常態化する中で、航空インフラが社会や経済、環境面に果たす役割や影響はますます大きくなりつつある。そうした中で世界最大の航空機メーカー、ボーイング社がどのようにサステナビリティ活動を展開していくのか、今後も注目していきたい。
【企業サイト】Boeing
【サステナビリティページ】Boeing Environment
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